プロローグ
登場人物は、拙著『日本国憲法 私的解釈』と同一です。
なお、「解釈にもならねーよ」というご意見は受け付けておりません。あしからずご了承ください。
幼馴染である伊野上守と大岩桃子は、中学生2年生の時、『日本国憲法』についてまとめたレポートを自由研究として学校に出した。
結果は、満点だった。
そして月日は流れて、いつのまにか1年がたっていた。
「……それで、来たっていうわけ?」
中学3年生の自由研究のテーマは、去年約束していたことにすることにしていた。
「約束は果たす必要があるだろ。だからさ」
伊野上は桃子の家にあがりこんで話していた。
「次は、『大日本帝国憲法』についてなんだが、ただ単にするだけだったら味気ないし、去年と同じということで、簡単に帝国憲法ができるまでの略歴を入れてみたいと思うんだけど、いいかな」
「私は構わないけれど、間に合う?」
「大丈夫さ。今日は7月27日だから、まだまだあるし、ほかの宿題を一気にぱぱっと片づければどうにかなるって」
桃子の心配をよそに、伊野上はノートパソコンをカバンから取り出して、打ち始めた。
「今回は、父さんから借りれたから、全部これで作ろう。提出用のレポートもパソコンでいいっていう話だし」
「本文は短いといっても、昔の言葉で書かれてるから現代語訳も必要かな」
「私的解釈の話で、まとめてすることにしよう」
伊野上はそういうと、パソコンをおもむろに開けた。