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62.陰謀の影

「ば、馬鹿なぁ!」


仲間二人が倒されたオーガは目を剥いて叫ぶ。


影の隷属(シャドウ・パペット)ってのは、攻撃魔法の対象を一人から二人や三人程度にするだけのヘボ魔法のはずだ! それなのに!!」


ガクガクとオーガの膝が震えていた。


「なんだ今のは!? まるで一人で軍を撃退できるほどの矢を一気に放つなんてッ……! ありえねえ!!!」


そう言いながら、オーガらしくもなく、ペタリと腰を抜かして後ずさりする。


一方の私は首を傾げた。


「二、三人?」


そう言って、もう一度、疑問を口にする。


「その数ではさすがに即効クビになってますよ。まぁ、結局クビになったわけですが」


私はアハハと自虐しつつ、


「まぁ、この魔法も十分な兵士さんがいる王国では、使い道がない魔法でしたから。第一王子からも必要ない、余計なことはするな、とよく言われていました。懐かしいですね」


「そいつは馬鹿か! 人間国がそんな力を持っていると知っていたら、魔王国は戦略を見直すレベルだ! それこそ講和だってありうるだろうが!!」


「でも、殿下もそのお父上の国王様もそんなことは全くおっしゃってませんでしたが……」


「人間国のトップが無能のおかげで助かった……」


オーガは震えながら、ブツブツと何か言っている。


「ふふふ。師匠の規格外の凄さがようやく浸透してきたようで、私としてもとても嬉しいです。まったく人間国のトップが無能なせいで自己評価がなかなか上がってくれないのがちょっと不満ですが……。でも、そのおかげで王都から離れることが出来て、私と運命的な出会いの末に、私専属の師匠になってくれたんですから、そこは感謝なんですけどね」


ミューズさんもミューズさんで何やら早口で言っていた。


嬉しそうだし、まぁいいか。


さて。


それよりも大事なことがある。


ピオピオさんも助けられたし、残り一人となったオーガは完全に戦意喪失している。


「なぜ、こんなところにいたのか、聞かせてもらいますよ、オーガさん?」


ニコリと私は微笑む。


私の後ろで、リリちゃんとミューズさんも笑っているのが分かった。


そんな私たち三人の笑みを見たオーガさんは、なぜかひきつけを起こしたように震え出すと、なぜか泡を吹いてとうとう後ろに倒れて失神してしまったのだった。


「あら、これは困りました」


「なんじゃ? 暴れらると厄介じゃからいいじゃろ?」


リリちゃんはそう言う。


まぁ、そんなんですが。


私は嘆息しながら、


「自分で歩いてもらった方が早いじゃないですか? まぁ、気絶を治す魔法もあるんですけどね。今回は兵士さんたちを呼びに行きましょうか」


「そのあたりも手慣れておるのう。宮廷聖女としてどんな修羅場をくぐっておるのじゃ?」


「これくらいは普通でしたよ?」


「逆にどんだけそなたの周りはなーんもしとらんかったんじゃよ。やれやれ。人間どもは困っておるじゃろうなぁ、にゃはは」


なぜかリリちゃんがおかしそうに笑った。


でも、殿下が私より有能だと言って連れて来た聖女イゾルテさんがいるから、きっと大丈夫だろう。


何せ、将来王位につかれる方が、断言したのだから。


意味のない嘘をつくはずもないだろう。


もちろん、個人的にイゾルテさんが好きとか、そういう感情から要職に就けた、ともなれば話は別だが。そんなことはするはずがないのだ。


だって。


「そんなことをすれば国が滅びますからね」


宮廷聖女とは、国の礎なのだ。


そんな身勝手に首をすげ替える訳がなかった。


さあ、そんなことより、なぜ魔王領にしかいないはずのオーガさんがこんなところにいるのか、それを調査しなければならない。


「誰かにそそのかされなければ、こんなところにおるはずがない奴らじゃからなぁ。やれやれ、厄介なことになってそうじゃな」


元魔王のリリちゃんがポツリと言ったのが、何となく強く印象に残った。

【応援よろしくお願いします!】


 「面白かった!」

 「続きが気になる、読みたい!」

 「セラたちはこの後一体どうなるの?」


 と思ったら


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