50.オークさんに絡まれる
さて、ビュネイ公爵領に入っての馬車での移動も3日目となる。
まだまだ公爵首都マーニャスまでは遠い。
ビュネイ公爵領は森が多く、馬車はその中を走っていた。今は休憩中でリリちゃんが狩りに出ている。鹿か猪を仕留めてくるのじゃー!と言って出て行った。
そんな訳で私とミューズさんの二人で、温めたスープを飲みながら休憩をしていたところだったのだが……。
「風が騒がしいです。師匠」
「盗賊さんたちですかね。あるいはただの野盗でしょうか」
そんな会話をしながらスープの入ったコップを地面に置いて立ち上がった。
ガサガサという音を立てながら、二体の豚の容姿をした男達が現れる。
いわゆるオーク種族という魔族だ。
「へっへっへ、こんなところに女二人とはな。運がいいぜ!」
「ああ! マーニャスから離れて正解だった!! へへへ、お嬢ちゃんたち残念だったなぁ。だが、餌がこんな森の中をうろうろしているのが悪いんだぜ。くっくっく、しかも一人はエルフじゃねーか。売ったら高値がつきそうだ!!」
典型的な野盗くずれだ。
「師匠! ここは私が! 風の精霊ムガ!?」
「おっと、うーん。少し待って下さいミューズさん」
私は詠唱でオークさんたちを吹っ飛ばそうとしたミューズさんを止めます。
「はむはむほへあ!?(どうして止めるんですか~!?)」
「いえ、正当防衛ということでいいと思うんですけど、ビュネイ公爵領の法律がどうなってるのか知らないじゃないですか? だから、どこまでやっていいのか、分からないじゃないですか?」
「はむはむほへあ!?(ええー!? そんなのやっちゃってから考えればいいじゃないですか~!?)」
「元王女なのに割とそういうところおおざっぱですよね。結構面倒な部分なんですよ」
宮廷聖女をやっていたので、そのあたりは嫌と言うほど知っているのだ。
たとえ正当防衛だとしても、やりすぎてしまったら、ビュネイ公爵領への入領資格が取り消されるかもしれない。今回は元魔王リリちゃんの推薦で特別に許可されているけど、本来の入領基準に、たとえば犯罪履歴がないこと、なんかがあった場合に、入領資格が取り消される可能性はなきにしもあらずである。
そうなると、癒しまくりの予定に支障が出る。それは困る。癒しまくるという人生の根幹に関わってくるじゃないか!
というわけで。
「リリちゃんが戻って来たら、そのあたりの基準が分かりますから、それまで適当に私がやっておきます。ミューズさんは、えーっと、そう、師匠の戦いを見学するように」
「それ絶対邪魔扱いしてますよね!?」
「まぁまぁ」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる!」
「なめてるのか、人間とエルフごときが! オークの怪力の前に泣き喚くがいいぜ!! げへへへへ!!」
オークさんはその筋肉質な肉体自体が武器か。
でもまぁ。
余裕ですね。
私は微笑んだ。
最も難しい手加減が出来そうだというレベルで。
【応援よろしくお願いします!】
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「オークとの戦いは一体どうなる!?」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




