5.風邪は予防が一番大事なのでこうしましょ♪
ここから短編の続きです。
「すがすがしい朝ですね。いやあ、それにしても、大した病気じゃなくて本当に良かったです。1日で皆さん回復しましたし」
私はモーニングティーを村のお宿の一室で借りて寛いでいた。
それにしても、
「ああ、いきなり100人の人達を癒せるなんて、ついてますね。でも、これくらいは大した数じゃないですね。もっともっと癒さないと聖女の名が廃る!!」
飽くなき欲望を口にした。
癒せば癒すほど、皆さんが元気になるのだ。
そして私は嬉しい。
これほどWin-Winな関係はない!
「聖女様、何べんも言って申し訳ありませんが、漏魔病は不治の病でございましてですね」
「ハンスさんったら、そんな大病が、私ごときが癒せるはずないでしょ? 宮廷をクビになったヘボ聖女なんだから」
「それって、その王族の目があまりに節穴だっただけじゃあ……」
「いえいえ、イゾルテ公爵令嬢さんっていう、第1王子お墨付きの凄い聖女さんが来てくれたんですよ。だから今頃宮廷は安泰ですよ!」
「そうですかね~?」
「当然です! ですので王家のことはもう放っておいても完全に大丈夫だと思います! おかげでこうしてお医者様や癒し手が不足している場所を巡ることが出来るのですから」
私は純粋にイゾルテ様に感謝する。
あの雰囲気に、あの美貌。きっと私の数万倍の腕前を持つ聖女に違いないからだ。そう私は一目見て確信した。
「というわけで、今考えないといけないのは、むしろ漏魔病の原因です」
「そ、そんなことまでしてくれるんですかい!?」
「あははは! 当たり前ですよ! 原因を根絶しないと病気が再発してしまいます」
「せ、聖女様~、お、俺は本物の女神を見た気分です、ぐすっ……」
「ええ~!? どうして泣いていらっしゃるんですか~?」
とりあえず、ハンスさんが泣き止むのを待ち、私は口を開く。
「とはいえ、すぐに原因を突き止めることは困難かもしれません。というわけで、とりあえずの対症療法をしようかと思うのですが、良いでしょうか? 余り勝手なことをするなと、村長さんに怒られますか?」
「その時は俺が説得しますよ! 聖女様に文句を言う奴は誰であろうと許しません!」
「いえ、そこまでしてもらわなくても大丈夫なんですが……?」
ハンスさんは少し熱血過ぎると思う。
とにかく話を戻そう。
「えっとですね、それで対症療法の内容なのですが」
「はい」
「村に、対病魔結界を張ろうと思います」
「え」
「これで外から入って来る病魔はほとんど防げるはずです。まあ村から出ると防げないので、文句は出るかもしれませんが……」
「ちょっ、お待ちください聖女様。村って、この広い村全体に結界を張るって言うんですか? その対病魔結界ってやつを!?」
「はい」
私は何を驚いているのか分からずコクンと頷く。
「そうですが、どうしたんですか?」
「そんな超すごい巨大結界を、しかも何日も張れる聖女なんて、聞いたことないんですが!?」
「そうなんですか?」
よく分からずに、私は小首をかしげる。
なぜなら、
「王家では城中に張ってましたよ」
「は? いや、えーっと……」
なぜか半眼のハンスさんが恐る恐るといった様子で聞いた。
「それは何日間くらいのことですか?」
何日?
変なことを言うなぁ。
「別に何日ってことはないですよ」
「あっ、そうなんですか」
ホッとした表情をハンスさんはするが、
「王家や城の人々に風邪をひかせるわけには行きませんからね。着任してからずっと張ってましたよ」
「ずっと!? ずっとって言いましたか!? えっ!? しかもお城全体に!? それって着任されて何年にもわたってってことですかい!?」
「そうです……けど」
また何か変なことを言っただろうか。着任してからだから、かれこれ5年以上か? でも引き継ぎ書をイゾルテさんに渡した時も、こんなの要らないわよ! と言って捨てられたくらいだし、やはり大したことではないはずだ。
ハンスさんはもはや何も言わず、はあ~、と大きなため息をつき、
「いや、もうツッコむのやめましょう。身体が持ちませんぜ」
なぜか呆れられてしまったのだった。
な、なんで~……?
ま、まぁとにかく。こうして私は村を結界で覆い、一旦病気の再発を防止することにしたのだ。
風邪は予防が大事ですからね!
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