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49.魔王様の食べ方は可愛い

「ほーら、ほーら」


「や、やめるのじゃ……。そのようなものを……」


「いいからいいから。騙されたと思って~。ちょこっとだけ。ちょこっとだけでいいですから」


「あ、あむぅ」


私が無理やりそれを突っ込むと、リリちゃんは目を白黒させてから思わず、叫んだ。


「うみゃい!!!」


「でしょう?」


「おっかわりなのじゃ! この天ぷらという料理は最高なのじゃ! ただの葉っぱがやたらと旨い!!」


「東方にある独自の文化圏のお料理なんですよ。人材交流で留学してきた料理の専門家さんに教えてもらったんです。こんなところで作るとは思っていませんでしたが、喜んでもらえて良かったです」


魔王国ビュネイ領に入った初日の夜、いつも通り馬車をとめて野宿をしていた。


幸いなことにここは食べられる野草は多く、保存食のお肉や魚介の干物関係のものも、これまで癒しを施して来た人々からたくさん頂いているものがある。調味料や油なども余裕があった。


というわけで、本日は無事に魔王国に入国出来たということで、新たな門出という名の贅沢ディナーの会を開催していたのだ。


「はい。次行きましょう。こっちもきっと好きですよ~。はい、あーん」


「熱い熱いうまい!」


「ふーふーしながら食べましょうね」


「ふーふー」


私がフォークに刺したお肉の唐揚げを、ちまちまと食べる猫舌の元魔王様は可愛らしい。


まるで子猫のようである。


リリちゃんが何歳なのかは知らないけど、見た目だけで言うと、私よりかなり小さいのだ。


おかげで、こうして膝の上に乗せてご飯を食べさせることが出来る。


なんだか癒される。のじゃのじゃ言ってる可愛いこの小動物。たまらない。


友達になれて良かった。


「あむあむあむ。もっとなのじゃ!」


「はいはい」


ジューシーな唐揚げに、レモンをしぼって差し出す。


それをリリちゃんは幸せそうに口に運んだ。


元魔王なので、大口でムシャムシャッ!と食べるイメージだったのだが、その食べ方は小鳥のようにささやかだ。


ちま、ちまと食べる。


「♪~ ♪~」


鼻歌を歌っているのも、恐らく無意識なのだ。なんて可愛い生き物。


と、その時。


「ああああああああああああああああああああああ!!!! ずるい! 魔王様!! また師匠の膝に乗せてもらってます!!!!」


追加の薪を拾ってきてくれたミューズさんが非難の声を上げた。


「大丈夫ですよ、大丈夫。ちゃんとミューズさんの特製分も作ってありますから」


そう言って私はあぶっていた、豚、玉ねぎ、ピーマン、小さな卵のフライを一本の串にさした、特製串焼きを差し出す。


「薪拾いありがとうございました。お疲れ様です。さぁ、美味しいですよ。どうぞ!」


「こ、こんなものでごまかされませんからね。確かに魔王様のほうが先に仲間になったかもしれませんが、私だって師匠のことをお慕いしているんです。この差別は許すわけにはっ……」


そう言いつつ、彼女は地面に座ると、あむあむと特製串焼きを食べ始める。


「……(あむあむ)」


「……ミューズさん」


「……(あむあむ)」


「えーと、許すわけには、の続きは何ですか?」


その言葉に、彼女は最後のお肉の欠片を飲み込むと、下を向いた。


そして、両手を地面につけて突っ伏しながら、


「ゆ、許しませんから! 許していませんからね! ところでお代わりはないのですか!?」


「許したじゃ、この元エルフ王女……」


というリリちゃんのツッコミが響く中、私は笑顔でもう一本作っていた特製串焼きをミューズさんに渡すのだった。


料理は偉大ですね!

【応援よろしくお願いします!】


 「面白かった!」

 「続きが気になる、読みたい!」

 「お腹が減った」


 と思ったら


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