44.グランハイム王国よ、お幸せに
「ふむ、ここが大結界の境界であり、同時にビュネイ公爵領との境でもある。……本当に良かったのじゃな、セラ? 魔族を癒すことになれば、人間からは非難の声を受けるやもしれぬ。ゆえに、別に無理をせずとも良いのじゃぞ? 嫌であれば、魔王国を経由して別の国に行っても……」
「うふふ、大丈夫です。むしろワクワクドキドキしています。このようなチャンスを与えてもらったことを感謝しているのですよ。もちろん、先日のように人間を殺戮しつくそうみたいなお方は困りますが、私にとっては癒せれば魔族の人間もエルフもドワーフもドラゴニュートもありません」
「うむ! さすがセラであるなぁ。さすが儂の……その、パ、パートナーじゃなぁ!」
「私の師匠ですからね! 私の師匠。師弟の縁はパートナーより重いのです」
「なんじゃ、そなた邪魔じゃなぁ。無粋なんじゃけど。挟まってこないでくれんか? なのじゃ」
「魔王様こそ、先行者利益かっさらい過ぎじゃないですか? ちょっとは分けて下さいよ」
「いやいや、セラは儂のじゃし」
「いーえ違います! でも私のです! と主張しても通らなさそうな圧を感じるので、まずは共有財産であるということにしましょう!」
「だから挟まって来るんではないわ。このエロフが!」
よく理解できない会話ですが、喧嘩はよくありません。
「ふふふ。私はお二人と旅が出来れば幸せですよ。ずっと一緒にいて下さいね」
少しフォローする。すると、
「は~、これじゃから天然は怖い。うんうん、ずっと一緒にいるのじゃ。何にせよ、儂の魔力貯蔵庫は破壊しておるからセラがいなくなれば儂の死ぬときじゃしな。あ、ちなみにコレはもう治さんでいいのじゃ」
「私も永久の弟子として師匠にお仕えしますよ! 二人で新しい種族を立ち上げましょうね!」
うーん、やっぱり二人の言っていることがよく分からない。
とはいえ、いつまでもこうしているわけには行かない。
グランハイム王国と魔王国との境界を超えようとしているのだから。
と、その時だった。
「待て待て待てえええええええええええ!!! そこの平民聖女!!! 魔王国に行くことは断じて許さんぞ!!! このっ……」
兵士数十名を連れて、馬上から怒鳴るように叫んだのは、
「グランハイム王国の第1王子カイルの名において、元宮廷聖女セラの拘束を命じる!!!!!」
そう、私を王都より追放してくれた、カイル殿下なのだった。
まさに今、魔王国の国境をまたごうとするとき、それを止めようとするグランハイム王国の兵士たちが駆けつけて来たのである。
また兵士たちの一人にはイゾルテさんもいた。
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