41.もう癒し終わりました
「はぁはぁはぁはぁ!」
私は全力疾走していました。
何せ対象が多すぎます。
中規模の街なので1万以上かもしれません。
「うりゃあああああああ!!! 水の精霊ウィンディーネよ、彼 の者の病をいやしたまえ。『生命の水 』!!!!!」
「お、おお。衰弱していた身体が……」
「どなたか存じませんが、ありが……」
「よおおおおし!!! 次行きましょう、次次次次次に行きますよ~!!」
バターン!!!
私は扉を閉めて、隣家へと駆け込む。
「うぐぐ、頭が痛い」
「はぁはぁ、俺は覚えているぞ。あの不気味な髑髏姿の奴らが俺たちにゾンビ化エキスの混ざった毒薬を……」
「そりゃああああああああああ!!! 『生命の水 』!!!」
「なんと!? ゾンビになりかけていたことで、もう回復しないかと思っていた頭痛が嘘のように治った!!」
「せ、聖女様、きっと名高い方に違いない、ぜひお名前」
「癒しまくり! 癒せまくれる! 楽しい! 嬉しい! ハッピー!! さあ、どんどん行きましょう! 次は誰ですか? 私を待つ負傷者はどこですか!? 治療を待つ人は名乗りでてください!! いえ、出てくる必要はありません! 私が押しかけて無理やり治療しますからね! ああああたのしー!!!」
これだ。
これがやりたかったのだ。
癒しを必要とされる感覚!!
私が癒しているという悦楽!!
病魔を祓う時のなんとも言えないフワフワした感触!!
この身体に眠る魔力が叫んでいる! 癒して癒して癒しまくれと!
今、私、最高に輝いてる!!
「儂らが追随するより癒す速度の方が早いってどういうことなんじゃ?」
「はぁ、まぁ、意味が分かりません。というか、こんな師匠をどうして追放したんでしょうか? お城の方って馬鹿なんですかね……」
「まぁ平民っちゅーだけじゃろ。しょうもな」
「さあさあ次ですよ次ぃ!」
「うむ。じゃが若干ドン引きの儂」
「ですね~」
バーン!! 勢いよく扉を開ける。
「セラです! して欲しい治療を言いなさい!」
「は? へ? 聖女様? え、あの……ゾンビエキスを特に多く摂取しすぎたらしく、毒に冒されているような症状が……」
「なんと毒まで!」
「は、はい。申し訳ございません、聖女様。厄介な病魔で……」
「色々ある! 任せてください! むしろどんどん来て下さい!」
「……へ?」
目の前の病人は目を白黒させていますが、
「「木の精霊コロポックルよ。毒の海を浄化せし名高きユグドラシルの名のもとに、彼の者の毒蝕より救済したまえ!≪魔毒の無効≫!」」
「あれ?」
「治りました」
「ええええええええええええええええ!? もう!? あの、噂によると魔貴族の毒だとか……」
「関係ありません。癒しの対象であれば私を阻むことは出来ません。さあ次に行きましょう! リリちゃん、ミューズさん!」
「目が点になっておるぞ」
「まあ説明してる時間はないのも確かですから、は、ははは……。範囲魔法は漏れがあるといけませんから、戸別訪問すると言い出した時は不可能かと思いましたが……。これ」
ミューズさんがなぜか、どこか呆れた表情をしていた。
「今日中に全部行けちゃいますね」
「しゃべってる時間はないですよ! 今はフィーバータイム! さあ、次の患者はどこですか!」
「はいはい。あっちじゃあっち。一杯人が倒れておる」
「これはやりがいがありますね! すぐ行きますよ! どんどん行きましょう!!」
「もうあんま深く考えんとこ」
リリちゃんが半眼になっていた。なぜだろう。
ともかく、私はこうしてどんどん傷ついた人々を癒して行ったのだった。
「治りました」
「「「「「えええええええええええ!? もう!?」」」」」
そこかしこがにぎやかだが私は一顧だにしない。
なぜなら私は今、最高に楽しいからだ。
ああ、追放されてよかった。
こんなに沢山の人々を癒せるなんて、神様に感謝!!
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