34.一方その頃、第1王子は余裕の笑みを浮かべる
~一方その頃。第1王子カイル視点~
王国には4つの結界の基点があり、それが王国を大結界で守っている。
一般には結界柱と言われる。
特に魔族が住む魔王国からの侵攻に、この大結界は不可欠であり、王城を特に守護する宮廷聖女とは別に、四人の聖女が、その結界柱をそれぞれ守護していた。
そのうちの一つの北の結界柱を守る聖女が、魔力切れにより倒れたというのだ。
「どうされますか。このままではっ……!」
「ははははは! なんだそんなことか!!」
僕は笑った。
さっきはいきなりのことで、つい取り乱してしまったが、なんだ、たかだか聖女が一人倒れた程度のことか。
僕は余裕の笑みを浮かべながら言う。
「聖女の代わりなど幾らでもいる。すぐにでも探し出して交代させれば済む話だ」
それでこの話は終わりだ。
そう思ったのだが。
「い、いえ。確かに聖女はそれなりにおりますが、結界柱を担当できるほどの聖女ともなると、なかなか見つけるのは、すぐには難しく……。おそらく半月程度は必要かと……」
「ふむ、そうか」
ちっ、面倒だな。僕はそう思った。
確かに、結界柱ともなれば、必要とされる能力もそれなりに必要になることは、理解できた。
「いや、これはチャンスだ」
「殿下?」
僕は思わずニヤリとした。イゾルテが首をかしげる。
「イゾルテ。君の選ばれた力なら、結界柱の維持などたやすいだろう。先日、僕らは近衛兵たちの治療を行うことに成功した。だが、それよりも重要な結界の維持も重要な役目であり、僕の専属聖女である君が担当するに相応しい。何より、僕が選んだ君ならば楽勝に違いあるまい」
「確かにその通りです」
城内では癒しが足りないという声もあるが、それよりも重要な役割を担うのだから仕方ない。
僕たちのような上位貴族には、より大きな責任が求められるのだからな。
それに、任務としても楽勝だろう。
「よし、これで全て上手く行く! 早速馬を用意せよ! 北の結界柱の任務には、この第1王子カイルとその婚約者たる宮廷聖女イゾルテがつく! それはひいてはこの王国を僕らが守ることにつながるだろう!!」
「わ、分かりました」
伝令兵は慌てて僕の指示を部下たちに伝えに行く。
くくく。
よし、これで更に僕の王位が近づく。
成功が約束された試練ほど、口元が緩むものはない。
この功績が認められれば、きっと王も僕を認め、さっさと僕に王位を譲るだろう。
「くっくっく。もうすぐだぞ、イゾルテ。僕らの時代が始まるんだ!」
「ええ、その通りですわ。殿下。結界柱の聖女任務、お任せください」
そう言って、二人で余裕の笑みを交わし合ったのであった。
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