3.村人100人を癒して女神扱いされちゃいました
「いえ、あの、漏魔病を治癒しただけですので、それほど大したことでは」
「いやいやいやいや!!!! どこのどなたか存じませんが、それはそれは大したことです!! し、しかもあんな奇跡の回復魔法をあと何百回もっ」
「はーい! ストップです、ストップ! それは分かりましたから!」
必死になって止める。
本当にそれほど褒められるほどのことはしていないからだ。
だって王宮でも、
「貴様の治癒など大したことない。調子に乗るなよ平民風情が!!」
とよく言われたものだ。
なので、漏魔病を治したくらいでこんなに感謝されることに嬉しさはもちろんあるけど、恥ずかしい気持ちになったのだ。
きっと新しい聖女さん(確か名前はイゾルテ公爵令嬢さん)はもっと凄いのだろう。
まぁ、そんなことよりも、だ。
「さあ、案内してください、村人さん。えっと、お名前は……」
「ハンスです。聖女様」
神の奇跡、特に回復魔法を使用する者を聖女という役職で呼ぶのである。
「そうですか。ではハンスさん。案内して頂けますか?」
「ははー、聖女様の仰せのままに!!!!」
「そういうのはいいですから! 普通でお願いしますってば!!」
「滅相もありません、聖女様!!」
(大げさすぎますってば~)
と私は困りながらも村の中へ導かれたのだった。
★★★☆★★★☆★★★
「おい、本当にこれだけの数の患者を治せるのかよ、ハンス……」
「不治の病だぞ……。確かにお前が元気になったのは分かったし、すごい聖女様が来てくれたのも分かった。だがな……」
「そうだ。回復魔法の数には限りがある。神の奇跡である以上、何度何度も使えるもんじゃない。漏魔病ほどの疫病を治すとすれば、すごい奇跡だ。せいぜい一人か二人が限界のはず」
ざわざわ! ざわざわ! と、村人たちがハンスに呼び出されて広場に集められた。100人近くいるだろうか。
でも、これだけではなく、家の中で寝たきりの人達もいるらしい。
そちらも早急に癒しを施さないといけない。
でも、まずは動ける人を治す! 重傷者からだと時間が凄くかかる! だからまずはすぐに済む人たちをドンドン治して行くのだ。
「この人数を治すには、何日かかることやら……」
「大丈夫ですよ、一瞬で治せますので!」
「は?」
「はい、集まってください、集まってください! いいですね? 集まりましたね? 漏れはありませんね?」
「え? え? え?」
「では行きますよ~……」
私は呪文を詠唱する。
神様に感謝を、そして精霊に祈りを、人に祝福を。
先ほどの水の精霊ウィンディーネにお願いして使った回復魔法の、拡大バージョンだ。
「水の精霊ウィンディーネよ。その大いなる力によって、我が腕、我が瞳、我が手足の届かぬ地まで、その癒しの枝を伸ばしたまえ。≪生命の泉≫!」
上空に水の精霊の姿が一瞬垣間見えた。そして、村の上空を気持ちよさそうに一回りすると、キラキラとした雨を降らせる。それは人々にあたると、中に吸い込まれるようにして消えた。
すると、
「は? え? えええええええええええええええええええええええ!?」
「あれ? 呼吸が苦しくないぞ!?」
「えっ、痛くない!? めまいもしない。歩ける! 歩けるぞ!!」
わーっ!!
という大歓声が巻き起こった。
「ほ、本当にあの少女がやったのか!? この百人近くの病魔を一瞬で治療したってのかよ!?」
「ありえないぞ! 本当に!? あの少女が一人で!?」
「まさに女神様だ!!」
「「「「女神様! 女神様! 女神様!」」」」
なぜか女神様コールが起こったので、
「ス、ストップ! ストーップ!!」
私は赤面してやめさせる。
確かに漏魔病の治癒はしたけど、そこまで感謝されることじゃない。
他の聖女がたまたまこの村に訪れなかっただけだろう。
私は平凡な聖女に過ぎないのだから。
「そんなに大したことはしてないから、そのへんで」
「ええ!? いえ!? あなたはそれはもう相当なことをされて……」
「そ・れ・よ・り・も! もっと重病人がいるんでしょう? その人たちを癒したいと思います。誰か案内をお願いできますか?」
その言葉に、元気になった村人たちは率先して案内してくれたのだった。
いやぁ、たくさんの人たちを癒すことが出来て、しかもこんなに感謝されるなんて、今日はついてるなぁ。
そう心から思うのだった。
王家にいた時は、治癒をしたとしても、感謝なんかされたことなかったから、こうして感謝までされることに感動すら覚えてしまう私であった。
というわけで、1日のうちに村中を回って、癒しを施しまくったおかげで、このミリゲット村の漏魔病は、一夜にして撲滅されたのである。
「はぁ~、良かった。私でも治せる簡単な病魔で」
「いや、聖女様だから出来たと思いますが」
私がひと段落して額の汗をぬぐって呟くと、村人の誰かがつっこんだ。
もう、大げさだなぁ。
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