20.風魔法が使えないエルフ
「エルフさんを癒せるなんて、快感……ごほん、感動です。」
「まったく、この癒し中毒者は。癒す前に、じゃ……」
先代魔王のリリちゃんが、エルフさんの目を覗き込みながら言った。
「ファンと言ったったようじゃが どういう目的でストーキングしておったか聞きだすべきじゃ。そなた、何の目的でつけておった?」
「あの、えっと、その」
そのエルフの女の子の見た目は私と同じくらいだ。少し幼さも残していて、ワタワタと慌てる様は可愛らしい。
容姿はエルフらしい美しさを備えており、彼女の髪は薄い緑色で、目は鮮やかな青色だった。
「まぁまぁ、いいではないですか。拘束はしているのですから、まずは癒しですよ、い・や・し。水の精霊ウィンディーネよ、彼 の者の病をいやしたまえ。『生命の水』っと♪」
私が精霊さんに奇跡をお願いすると、優しい水の精霊ウィンディーネが、樹が倒れた際に負ったエルフの少女の傷を癒してくれた。
ああ、初めてエルフを癒すことが出来ました。
癒しの歴史がまた一ページ……。
「す、すごい。こんな完璧な癒しの呪文を唱えられるなんて、やっぱり素晴らしいです、聖女様! あっ、自己紹介が遅れました。私はミューズと言います。実は、エルフの身分を剥奪された、落ちこぼれなんです~。うっ、うっ」
「エルフの身分を剥奪? じゃが、それとストーカーしていたことにどういう関係があるのじゃ?」
「はい、そのことで、なにとぞ聖女様の力を貸していただきたくストーカーしていたのです! 先日の森に潜んでいたところあなたのことを偶然知り、村を出るまで待っていました!」
ミューズさんはそう言うと、ガバッっと頭を下げる。
「どうか、この私の魔法の先生になって欲しいんです!!!!」
「ん~? さっぱり分からんのじゃ。どういう意味なのじゃ?」
そう聞くと、ミューズさんは悔しそうに唇を噛み、
「なぜか、私には精霊を使用した魔法が発動しないのです。どれだけ頑張っても無駄で……」
「エルフは風の精霊たちと特に相性が良いはずじゃが?」
「はい。それなのに私には風の精霊の魔法が使えないのです。だから、私は小さい時から魔法が使えない病気だとか、呪いの子と言われ、エルフとしての資格がないと判断されて、こうしてエルフの里を半ば追放同然に出ることになったのです……」
「それは確かに不思議な状況ですね」
「まさか弟子にするのか?」
「弟子のお話は少し置いておきまして」
私はニコリと微笑んで、
「困っている人の悩みを解消することも、また癒しの一環ですからね。それに、エルフ族なのに精霊が反応してくれない、というのはどう考えても少しおかしいです。原因を探求してみたいと思うのですが、リリちゃん、いいでしょうか?」
私の言葉に、リリちゃんは頷くと、
「そなたがどのように今回の事件を解決するのか、俄然興味が湧いてきたのじゃ!」
「決まりですね」
「あ、ありがとうございます!!」
こうして私たちは、ミューズさんの魔法が使えない原因の調査を始めたのだった。
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「聖女セラ、先代魔王リリ、エルフ族ミューズ達はこの後一体どうなるのっ……!?」
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