表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/63

15.甘い物が好きなのは絶対秘密

馬車にてミリゲット村を離れたその夜、私は魔王さんに聞いた。


「魔王さん、そう言えばお食事はどうされていたんですか?」


実はミリゲット村では部屋が別々ということもあって、食事は一緒にはとっていなかったのだ。


「どうしたのじゃ、藪から棒に」


「いえ、そろそろ夜食を作ろうかと思いまして、準備をしようかと思うのですが……」


「うん」


「やっぱり、あれですかね? 魔王さんともなれば、ドラゴンを生きたまま捕食したり、野生動物をそのまま丸のみ、といった感じなのでしょうか!?」


私は少しだけ期待しながら聞く。


いかにも魔族っぽくてかっこいいと思ったからだ。


「お、おおおお。ま、まぁそんなところかのう」


「おお~、やっぱりそうなんですか。さすが魔族の王様です。ワイルドなのですね」


「う、うむ! そこはやっぱり元魔王なのでな。う、うむ、うむ」


「分かりました。ミリゲット村では色々と餞別の品を頂いています。特にこういうスイーツも頂いたのですが、私の方で食べちゃいますね。魔王さんがスイーツを食べるはずありま……」


「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


光の速さで、手に持ったクッキーが消えた。


「……え?」


「……もきゅもきゅ。ごくん」


え?


今、ごっくんしました?


「……まさか魔王さん?」


「ち、違うのじゃ……」


まさかと思いますが、もしや……。


「魔王なのに、甘いものが、大好きなのですか……?」


「にょわあああああああああああ!! なのじゃ!!!」


魔王さんが赤面して、頭をブンブンと振る。


「わ、悪いか! 魔王なのにおやつが大好きで悪いか! なのじゃ! 魔王だからって甘いものが好きで悪いか! なのじゃ~!!」


「あらあら、まぁまぁ」


逆鱗に触れてしまったようだ。


「似合わないことは分かっておる。魔王なのに、甘いものなんて、スイーツなんて、と。うう、じゃからこそ、セラとは食事を共にせず、こっそりと料理を運ばせておったのじゃ。甘い焼き菓子やたっぷり砂糖を使ったケーキなんぞを食べるために!!!」


「あ、それで食事の誘いを断られてたんですね。スイーツを食べたいがばかりに、うふふ」


「うう、もはや魔王の威厳もここまで。儂は誰にも嗤われずにスイーツを食せる安住の地へ誘われん」


「まぁまぁ、魔王さん。大丈夫ですよ、笑ったりしませんから。ただ、可愛いと思っただけですよ?」


「それが馬鹿にしているのじゃ!」


「違いますとも。魔王でも女の子なんですから、お菓子が好きなのは当たり前です。ではでは、今日は私が簡単なケーキを焼いて差し上げますね」


「まじ!? ケーキ!?」


「そんなに食いつきが良いと、嬉しいですね。はい、お城ではこっそり作ってたので、他の方に食べてもらったことがないのですけど」


「なんと!で、では儂がセラの秘密のスイーツを食べる第一号の客ということか!!! これはアがるのじゃ!!!」


「そんなに楽しみにしてもらえると嬉しいですね。では、お夜食を頂いたら、作りますね。ホットケーキ」


「うん!! おお、セラについてきて良かったのじゃ!! 神様ありがとうなのじゃ!! 我が生誕に感謝するのじゃ!!」


「そんなにですか、ふふ」




こんな感じで本日のおやつはホットケーキになった。


「うう、うまい!! 誰にも隠れずに喰うスイーツがこんなにも甘美たりえるとは!! セラ、一生ついてゆくぞ! そして、そなたの道行を邪魔する者がおれば、何人たりとも、この先代魔王ブラッド・ヘカテ・リリモーティシアの名において!!!」


「それは良かったです。リリちゃん」


「リリちゃん!? ま、まぁいいか。うむ、特別に許す!!」


そう言って、またパクパクと食べ出した。


「また作りますね」


そう言って微笑んだ。


(魔族における名前は重要なんですが……)


なぜなら、人族などに比べて、魔族はその名前に縛られることが多い精霊に近い種族だからだ。


例えば、呪いなどをかけられやすかったりする。


だから、あえて聞かなかったのだけど。


ただ逆に、名前を聞かせてくれたのは、実は最大限のお礼ということに当たる。


魔族からすれば名前(フルネーム)をばらすのは、好きにして良いというぐらい信頼している、という意味合いになるからだ。

【応援よろしくお願いします!】


 「面白かった!」


 「続きが気になる、読みたい!」


 「セラさんと魔王さんはこの後一体どうなるのっ……!?」


 と思ったら


 下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


 ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 魔王、チョロい(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ