ロマン・エイジⅤ プロローグ
目覚めの時はいつも同じ。頭はぼんやりとしていて、まだ血の巡りが遅いことを感じさせるものだった。
ベッドから立ち上がり、その場で一回伸びをする。それで少しだけ、頭に血が回り始める。
そのまま窓へと向かう。窓を開けて、朝一番の空気を部屋に招き入れた。
外から冷たい空気が流れ込む。その空気を大きく吸い込み、空だ全体に行き渡らせた。
それからその日の日程について思考を巡らせた。何をする予定だったか? 仕事は何が残っていたか?
まずは相棒に会って話をしようと思った。
その時、ふと思う。朝一番に考えるのが、あの相棒であることに苦笑いを浮かべた。
相棒と出会ってから、朝一番に考えるのが相手のことになっていた。
今までそんなことはなかった。昔は他人のことを考えることなど、あり得ないことだった。
それが今ではあの少女のことを考えるようになっていることに、彼自身不思議に思っていた。
そんな相棒も今頃は、自分のことを考えているに違いない。そう思ってしまうのだ。
そのことを呆れてしまうのだが、同時に嫌な気がしないのも事実だった。
きっと今日も色々あるだろうが、きっと楽しいものになるだろう。そんなことを考えながら、彼は身支度を整えようとするのだった。
常に繋りを歩いてくれる少女に、かっこ悪い所を見られないようにするために。