ロマン・エイジⅠ プロローグ
神が世界を創造し、人間を世界に生み落としてから永い時が流れた。人類は地上のあらゆるところで生まれ、そしてその生を終わらせてきた。
それは国というものも同じ。歴史にその名を記されなかった小国も、世界を制覇した大帝国も、人と同じように誕生し、繁栄を遂げ、最後には歴史から姿を消していった。
その頃、世界の中心となった大陸があった。ユースティア大陸である。有史以来、戦争を繰り返してきた大陸。歴史書を紐解けば、戦争の記述のないページはないだろう。戦争の大陸と呼ばれる場所だった。
大小様々な国が生まれては、いずれは消滅する。その繰り返し。勝利の栄光。敗北の屈辱。永遠とも思われた繁栄と、運命付けられた衰退。この大陸が重ねてきた歴史である。
戦争によって人々が流してきた流血は、そのまま歴史という名の大河となり、ユースティアはその流血を代償にして、大いなる繁栄を遂げた。
長い長い流血の時代を経て、大陸にはいくつかの国々が生まれた。
大陸の西側にはアンネル共和国という大国が、華やかな時代を迎えていた。そのアンネルから大きく東に行くと、広大な大地を領土とするアスタボ帝国が西側を睨んでいた。さらに大陸の北に広がるドッガー海には小さな島国、そして世界最強の帝国、ローグ王国が君臨していた。
それら大国以外にも多くの国々が大陸にはあった。それぞれが睨み合い、時には手を握り合い、「緊張感を保った平和な状態」を維持していた。
大陸の中央にも、大国の一つがあった。西のアンネルと東のアスタボ。それら両大国に挟まれる形で大陸中央部にある国。その名はグラーセン王国だった。