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ポイントグリーダー  作者: ショコラ
3/3

れんしゅうっ!!

前回の投稿から時間が経ってしまいましたが投稿です。今回は前回の体験入部の続きです。

それでは続きをどうぞ。

優しい日が差し込む昼下がり、本来なら今頃自宅でゆっくりぬくぬくと午睡を取っていたでしょう。

はぁ……お昼寝することが正義の幼き頃に戻りたい……

何故か私は今、自分の意思に反して走りこんでいます。

「そういえば、2人からはスポーツの経験があるかどうか聞いてひんかったな。どや、疲れてもうたか?」

おそらく、ダルそうな顔をしている私と、「はぁはぁ……」と息を切らしているモチモチを見て、先輩が優しく声をかけてくれました。

「いえ、大丈夫です〜。普段運動なんてしませんので〜、ちょっと疲れただけです〜。」

「私も大丈夫です。簡単な運動と聞いていたので、ちょっと予想以上に動きましたので。」

そう、既に私たちは、グラウンドを大きく一周回り、ストレッチを終わらせ、今はシャトルランほどの距離を2往復しているところだ。

怠惰を貪ることを生業としている人間には、なかなか堪える運動である。




「そっか、すまんな。普段から運動している人と運動しとらん人の体力の違いを考慮しとらんかった。じゃあ後、一往復したら少し休憩にしよか。」

「いよ〜し。ラストは全力を出しきるよ〜。」

この後、キャッチボールもあるんだから全力を出したらマズイのでは!?

モチモチ、今ならまだ助かる。全力で手を抜いて走るんだ。

さもなくば、モチモチの気力が燃え尽きるぞ。

「うぉぉぉぉ〜!!」

我々は、彼女の最後の勇姿をしかと見届けた。

一往復を全力で走り遂げ、膝に手を当て満身創痍となったモチモチに先輩と2人で肩を貸し、日陰へと運んでいった。





「燃え尽きたぜ〜、真っ白にな〜……」

日陰へどっと座り込んだモチモチは全てをやり遂げたかのよう空を向いていた。

「モチモチ、大丈夫っすか!!私のものでよければっすけど、スポーツドリンク持ってるので飲むっすか?」

「ヨシマサ〜ありがと〜。」

そう言ったモチモチは吉田さんから受け取った水筒を、砂漠に落ちた一滴の雫のようなそんな勢いでガブガブと飲みだした。

「あぁ!!私の飲み物もそれしかないんで、たくさん飲まないでくださいっす!!」

「ごめんね〜、もう全部飲んじゃったよ〜。」

そんな「ぐわぁ……」という吉田さんが悲痛な叫びを出した時にはもう既に遅かったようだ。

モチモチは笑顔で感謝を伝えながら吉田さんに水筒を返し、モチモチが冗談を言ったと思い込んでいるのか、吉田さんは耳元で虚無の顔で水筒を振り続けている。

恩を仇で返すとはこういうことか……モチモチ、恐ろしい子。





「なんや、水分足りんくなったん?

ほなら、今日は来てくれはったお礼にウチが皆に一つずつジュース奢ったるわ。学校にある自販機やから、欲しいもんがあるかわかれへんけど、希望言うてみ。」

何と、太っ腹なお方なんだ。

こんなお礼があるのなら三年間体験入部だけしに来ても良いだろうか。

「スポドリでお願いするっす!!」

「じゃあ、私はコーラで。」

「私は〜ゼリーみたいなので〜。」

モチモチ、どうしてまともな水分じゃないものを選ぶんだ。同じ過ちを繰り返すつもりか。

先輩はさっと学園の方へと走っていった。

元気だなぁ。

「先輩みてると〜、子供は風の子って言葉思い出すね〜。」

モチモチ、そんなことを言えるほど体力が回復したんだね。

いろんな意味でのタフさだけは尊敬するよ。




「そういえば〜、静先生ってどこいったのかな〜?」

そういえば、言われてから気づいたが、いつのまにか先生の姿が消えている。

「先生なら、モチモチが走りきる前に校舎の方へと戻ってったっすよ。」

ほう、我々が頑張っている中、快適な温度の中で悠々と仕事をしていたというわけか。

あの変態教師め。

「ジュース買ぉてきたで!!ゼリーは流石になかったから、飲みやすい紅茶にしたけど、ええか?」

「ありがとうございます〜。」

先輩からジュースを受け取り、喉流し込む。このジュースが体の70%を構成する一部になるんだよなぁ。




「それ飲んだら、グローブ持ってキャッチボールやろや。とりあえずペアはウチと森町。吉田と、望月でええか?」

「良いですけど、経験者は経験者同士でペアを組んだ方が思いっきり投げられるんじゃないですか?」

初心者の私が先輩とやるのは何か実力的にも気分的にも気まずいので、適当に理由をつけて変えてもらうことはできないだろうか。

「いや、初心者のうちは暴投とか多いから片方を経験者にした方が思いっきり投げれるし気分ええやろ。初心者同士やと、多分お互いに遠慮しちゃって気分悪くなるで。」

なるほど、おそらく先輩も考えての組み合わせなのだろう。

不用意にペアを変えようとするのは申し訳なくなってしまった。

「ほな始めよか。とりあえず、森町と望月は背に壁がある方にして、ウチと吉田は背に何もない方についてや。

後、最初から本気で投げると肩痛めるから、届かへんかな?って距離になったら力入れて投げてや。」

ふむ。とりあえず、最初は優しくってことで良いのかな。

私はダンボールから持ってきた黒色のグローブを左手へはめてからゆっくりと腰を上げた。





「4人とも準備できたな。ほな、始めよか。」

ふむ……キャッチボールということで、私のイメージとしてはもっと……こう……体力テストのボール投げをイメージしていたのだけど…

「ヨシマサ〜、ちょっと近くないかな〜?」

そう!!モチモチそれなんだよ。

私と先輩の間の距離は目視でおよそ5m弱しか空いていない。

こんな近さでボールを投げたら、まるで弱い者いじめみたいじゃないかな。

「いえ、こんぐらいっすよ。まずはボールに慣れてもらいたいんで、私は下から投げるっすから。モチモチはボールを取ったら私に届くぐらいで投げてほしいっす。」

「そういうことやから、こっちも同じのやるで。」

なるほど、先輩の憂さ晴らしにこの距離で思いっきり投げられるとかでなくて安心したよ。

そんなことを考えているうちに、「ほないくで。」と先輩がそっとボールをなげてきた。

こんな遅い球、初心者の私でも取れちゃうぜ。とグローブでバシンッと掴んでやったぜ。



取った球をグローブをつけていない方の手で持ち替えて近い距離なのでボールに軽く添える程度の力で先輩に投げ返す。

「何や、森町。結構できそうやないか。最初ん時もそこまで息切らしとらんかったし、案外運動神経良いんちゃう?」

すごいなぁ。こんな遅い球1球だけでここまで褒められる世界。

まるで、なろう系主人公にでもなった気分だぜ。



「いえいえ、このぐらいの距離なら初心者でも全然投げれますよ。」

とりあえず、相手は先輩なので下出にでることにしよう。

いや~才能のあるものは辛いねぇ。

「ヨシマサ〜いくよ〜!!」

その声のする方角へ目線を向けると、モチモチが片足を上げ、ボールを持った右手を頭の後ろへと構えた見事なフォームのモチモチがいた。

なん……だと!?モチモチはさっきの練習を見る限り運動神経はあまり良くなかったはず……しかし、このフォームと気迫を見るとあたかも野球経験者であるかのような雰囲気を身にまとっている。

「さっ……流石にこの距離でそんな速い球投げられたら私でもキツいっすよ!!」

「ヨシマサ〜、さっきの借りをここで返すとするね〜。」

ダメだ、吉田さんの声をモチモチは完全に聞き流している。モチモチは本気でヤル気だ……

さらば、吉田さんよ。アーメン……

「うぉぉぉぉ〜!!」

「望月!!流石にそりゃアカンで!!」

先輩の制止すら振り切ったモチモチ、彼女は

体全体を前に倒し全力で振りかぶった結果、ボールの勢いを極限まで高め、投げつけられたボールは、そのまま前に飛ぶことはなく、真下の地面に向かって勢い力叩きつけられた。

「痛ッ!!」

無論、体を倒しきっていたモチモチの顔に地面にぶつかり跳ね返ってきたボールが見事にクリーンヒット!!

何だこのギャグみたいな展開は……




「モチモチ!!大丈夫っすか!?」

「い……一応保健室行こか?」

慌てて駆け寄る先輩と吉田さん。青春って感じするなぁ……

ここで私だけ行かないのもあれなのでそれとなく近寄っておこう。

「モチモチ、大丈夫?」

「うっ……うっ……」

モチモチは顔にボールがぶつかった体制からそのまま倒れ込み地面に蹲ってすすり泣いていた。

「ヨシ……マサ……ごめんね……私……カッコイイとこ……みせたくて……」

あら可愛い。今までの言動からモチモチがそんなことを言うように思えなかったので衝撃を受けた。

普段からその態度取ってたらめちゃくちゃ人気出るわ。これがギャップ萌えというやつか。

「先輩!!モチモチの頭がやられたっす!!」

「アカンな……こりゃ重症やな。」

あぁ……せっかくモチモチが可愛いところが見えたのにそれをぶち壊していくギャグ空間……

ギャグの癖にテンポ悪いのは致命傷じゃないか私……



「モチモチ、とりあえず顔上げてみ。」

この2人だとさらに悪い方向へ話が進みそうなので仕方ないが私が主導権を握るしかないか。

「うぅ……ツユリー……」

おもむろに動き出したモチモチの顔には大量の涙があり、それに加え微量の鼻血が出ていた。

「モチモチ、鼻血が出てるっすよ。鼻を抑えて顔を上にあげておくっす。歩けるっすか?肩貸しますよ。」

「うぅ……ヨシマサ……」

「こりゃ、今日の練習は切り上げないとアカンやろな。一応、部室にティッシュならあったと思たから持っとくるわ。」

「じゃあ、私は適当に道具とか運んでおきますね。」

「せやな、森町頼んだわ。」

かくして、初日の体験入部は波乱万丈の展開を迎えたのであった。

幸先から不安しか感じないスタートだなぁ……




「これで大丈夫。軽傷だったけど、一応怪我した場所を冷やすように保冷剤とかは貸しておくから、しっかり冷やして明日返しに来てね。それじゃ、お大事に。」

保健室の先生に軽く診てもらい保健室から出てきたモチモチ一行。

「モチモチ、本当に大丈夫っすか?」

「うん〜、全然大丈夫だよ〜。ところでさっき〜頭がやられたとか言ってたけど〜どういうことかな〜。」

「えっと……さっきまでのモチモチはどこに行ったんすか?」

「あはは〜私は私だよ〜。」

モチモチはそう言うと吉田さんの額に向かって中指と親指を丸めて構え、

\ピンッ!!\

「痛ッ!!」

吉田さんに向かってデコピンをした。

「でも一応〜さっきは肩貸してくれてありがと〜。」

モチモチは小声でそっと呟いたが、先程のデコピンを痛がっている吉田さんには届いていないようだった。

てか、そんなに痛いのかモチモチのデコピン。

「すまん!!ウチがもうちょっと一人一人の力を把握しとったらこんなことにはならへんかったと思うんやけど。」

先輩は全力で頭を下げて謝罪をしてくれた。

しかし、今回のは10対0でモチモチが悪いように見えるし先輩の落ち度はほとんどないと思うぞ私として。

「いえ〜、今回は私のミスなので〜いいですよ〜。ただ〜先輩も〜何か私に言っていたようなので〜覚えておいてくださいね〜」

「ええで、覚悟は決まっとるからな。」

先輩にも怖気づかないなぁ怖いもの知らずなのかなモチモチ。

「それでな。こんなんなってる時に悪い思うんやけど、もしその気があるんやったらまた、見学でもええからウチの部活来てくれへんか?」

「私は行くっすよ!!こんな消化不良じゃ勿体ないっすからね。」

「私も〜先輩にやり返さないとなので〜。」

あらやだ、皆さんやる気じゃありませんか。

ここで私だけ断ったらクラスでの空気とか悪くなっちゃう?

「私もまぁ、色々と見れてなかったので。」

「そっか。ありがとな。じゃあ、明日も放課後に部活かグラウンドにおると思うから。気が向いた時にでも来てな。」

こうして、第2回の見学が約束されてしまった。私に休息は訪れないのか……

「ほな、ウチは家まで電車やけど3人はどの方向なん?」

「私も電車っす!!先輩、一緒に帰らないっすか?」

「ええで。」

「私は別の方向なんで。モチモチは?」

「私は〜迎えが来るから先に帰ってて〜」

「そっか。じゃあ先輩、モチモチ、吉田さん。さよなら。」

「さよならっす!!」「ほな、また今度な。」「じゃあね〜」

そうして各々は別れて帰っていった。




それから5分程経った後、キキッ!!と音を立てて学校の前に車が到着した。

「用さん、遅れてすみません。」

「いや、先程迎えに来てと連絡したはずなのに直ぐに来てくれて本当にありがたいよ。」

私はそう言いつつ、車の後部座席へ乗り込む。

「いえ、これも仕事なので。」

「あはは……顔汚しちゃったかな。目立たないようにできるかな?」

「はい、その程度の傷ならメイクで何とか誤魔化せる範囲です。それにしても用さんが野球ですか。お母様がその話を聞いたらお怒りになられますよ。」

「きっとそうでしょうね。」

「ところで、学校生活はどうですか?お友達とかは出来ましたで……いえ、すみません。」

不意に出てしまった言葉を慌てて訂正する黒服の足立。

「ううん、大丈夫。それに学校には面白そうな子もいたんだ。今後もこんな関係のままいられたら良いなぁ。」

そう呟いた用はかすかに揺れる車の中で欠伸をした。

新生活全く慣れなくて辛みやばめな人生で書く時間がなかったと謝罪させてください。ってこんなん趣味で書いてんだから別に良いやんオナニーしてるようなもんやもんね。

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