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【書籍版6巻発売中!】怪物たちを統べるモノ ~能力『プレイヤー』使いは最強パーティーで無双する!~【コミカライズ2巻発売中!】  作者: Sin Guilty
第四章 『虚ろの魔王』編 前半

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第272話 『旧最終迷宮』②

 だが2人にしてみれば、もしかしてソルが着替えてくるように言ったのは「水着」にであって、自分たちがとんでもない大ポカをやらかしたのかもしれないと思い、嫌な汗をかき始めている状況なのである。


 そのソル自身が今の装備に身を包んだ2人を褒めていたので、そんなことはあり得ない。

 そもそも他の古参メンバーたちも迷宮攻略装備であり、ソルが昨日までのように海ではしゃごうとしているわけではないことは明らかだ。


 とはいえ確かに波打ち際に足を踏み入れて茫然と立っているようにしか見えないソルの様子を見ていれば、自分たちもさっさと水着に着替えて海に飛び込んだ方がいいのかも、と考えてしまうのも無理はないのかもしれない。


「うーん、確かにちょっと考えればそれはそうだよね。観光都市サン・ジェルクの歴史はもうずいぶんと長いんだし、そんなおっかない物(最終迷宮への入り口)なんかがここにあったら、この島をわざわざ最高級リゾート島として開発なんてしないよねえ……」


 どこか恥じるように、それでいて得心がいったとばかりにジュリアが呟いている。


 その言葉の内容から、どうやら古参メンバーたちは新参2人とはまったく違う感想を、同じソルの様子を見た結果として得ているらしい。


()()()、という可能性を完全には否定できませんけれど、まず間違いなくジュリア様のおっしゃるとおりですよね……」


 同じくフレデリカも短絡的に「この島に最終迷宮(ラスト・ダンジョン)の入り口が隠されている」と思っていたらしく、ジュリアと同じく少々照れ臭そうにしながら、ほぼ確実にその自分の考えが間違いであったことを認めている。


 あえて、というのは『聖教会』あたりが秘匿するためにリゾート地としてのカモフラージュを仕掛けたという可能性に言及しているのだが、さすがにそう口にしたフレデリカ自身ですら、その考えは少々穿ち過ぎだとしか思えない。


 だいたいもしも本当にそうなのであれば、サン・ジェルクは間違いなく『聖教会』の直轄地とされていたはずである。


 それに『聖戦オラトリオ・タングラム』を経た今となっては、『聖教会』とそれを裏から操っていた『旧支配者』たちに、そこまで強い支配力がない――絶対的な力を持っていないであろうことも類推されている。


 確かに自称しているとおり、彼らは過去には支配者()()()者たちの成れの果てなのだろう。


 となれば今の、あるいは真の支配者だといえる最強の『魔物(モンスター)』たちが巣食う最終迷宮(ラスト・ダンジョン)を、千年の永きに渡って完全に掌握できていたとは考え難いのだ。

 事実、七つもの国を滅ぼした『国喰らい』は、今なお放置されているのだから。


 黒幕を気取っている『旧支配者』たちではあろうが、自身のその名乗りによって語るに落ちているとも言えるのかもしれない。


「――あ、そういう事かぁ」


「単にこの島が最終迷宮(ラスト・ダンジョン)の最寄りの場所かつ、人目につかない場所だっただけなのですね……」


 最初はぴんと来ていない様子だったリィンとエリザも、ジュリアとフレデリカの会話で事の真相に思い至ったようである。


 エリザがその結論を、端的に取りまとめて言語化している。


「え? つまりどういうことスか?」


「えっと?……」


 だがファルラとルクレツィアにしてみれば、ソルの様子とたったそれだけの会話で、古参組と同じ結論に到達しろというのは流石にまだ無理である。

 

 当然、度が過ぎた吞気者というわけではないので、古参メンバーたちが口にしている言葉そのものは充分に理解できている。


 ここティア・サンジェルク島が最終迷宮(ラスト・ダンジョン)最寄りの場所だというのは、そのままの意味だろう。

 だからこそ絶対者(ソル)最終迷宮(ラスト・ダンジョン)の攻略を開始する()()()に、この島での休暇をみなと過ごすことを選択したというのも納得できる話である。


 人目につかないというのも島そのものがソルに献上されている以上、ソルの仲間でなければ立ち入ることなどできはしないので尤もな話だ。


 だがここは海上にぽつんと浮かぶ孤島なのだ。

しかも今自分たちが佇んでいるのはその端、海と陸との境界――波打ち際である。


 まだしもここが大陸辺境部だというのであれば、この先のどこかに最終迷宮(ラスト・ダンジョン)の入り口があるのだろうな、となんとなくでも納得することができただろう。


 だがそろそろ早朝の時間帯を過ぎ、盛夏らしい暑さを感じさせ始めている蒼空と碧海が眼前には広がるばかりなのだ。


 ――まさかここから泳いでいくというわけでもあるまいし。


 いやもしもそうだというのであれば水着に着替えるしかないのだが、美しい空と海、その境界である水平線しか見えないこの状況では、ルクレツィアとファルラにしてみれば「ここからどうするの?」となってしまうのも無理はない。


 だがすでにしてソル一党は、地続きでなければ目的地にたどり着けないなどという域から遠く逸脱してしまっているのだ。

 

「うん、()()()で間違いない。ルーナ、頼めるかな?」


「承知致しました」


 そのソルが遥かな水平線を指差しつつ確信をもって頷き、ルーナに指示を出す。


 それと同時にルーナがこの場の全員に『飛翔』魔法を展開し、あっという間にかなりの高度まで上昇してのけた。


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