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【書籍版6巻発売中!】怪物たちを統べるモノ ~能力『プレイヤー』使いは最強パーティーで無双する!~【コミカライズ2巻発売中!】  作者: Sin Guilty
第三章 『死せる神獣』編

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第114話 『迷宮攻略』④

『ですがそのクリード殿自身も記憶の封印を受けておられるとなると……』


「奴が語ったことがすべて真実だという保証もないがな」


「それを言い出すと()()()だよね」


『返す言葉も御座いませんな』


 それを前提とすると、誰もかれもが怪しいと言えてしまうのだ。

 なんのためか、誰の為かはわからなくとも、自覚なく己自身が罠となる可能性を誰も否定できはしない。


 『記憶』の操作が可能だという事実がある以上、『意志』の操作すら可能である事を完全に否定することなど誰にもできはしないのだから。


「僕も含めてだよ。客観的に見れば僕が一番怪しいとさえ思える。クリードさんは間違いなくそう思っているよね」


 となればソルにしてみれば、自分が一番怪しい。

 記憶を操作可能で、意志すらも可能かもしれないと考えれば、どうしてもそうなる。


 人であれば誰もが神から能力を授かる12歳になる年の1月1日に、『プレイヤー』というまさに神にも匹敵する能力を授かり、その力と己の夢を以て今この時に世界をひっくり返しているのは他の誰でもないソルなのだから。


 そのうえ『召喚』で示された5枚の手札(カード)は、『勇者』すらも含めた千年前の主役たちがそろい踏みと来ている。


 神が自分自身で直接この世界を楽しみたく、あるいは壊したくなって、ソル・ロックという一人の人間として神の記憶を封じて顕現したという、突拍子もない話ですら成立しなくもないのだ。


 怪物たちを従僕(しもべ)として、人の世界を滅ぼす自覚なき神の顕現。

 わりとソル自身が()()()()のを嫌いじゃないところが、喜劇なのか悲劇なのか。


「我は……」


「ルーナは信用しているよ。だけど配られていない手札(カード)に囚われ過ぎるのもあんまりよくないと思う。今ある手札(カード)でできることを優先すべきじゃないかな」


 だがそんなことまで疑い出したらきりがない。


 そうなる事こそが、未だ本当に存在するかすら定かならぬ()の狙いである可能性も否定できない。

 それに封じられた記憶を鍵もないままにいくら思い出そうとしても、おそらくどうにもならないはずだ。


「たしかにそうですね」


「それしかできないともいう」


「それでいいんじゃないかな? やるべきことはそれこそ山ほどあるわけだし」


「確かに」


 だったら今やるべきこと、やりたいことを一つ一つ進めていけばいいとソルは肚を決めている。

 幸いにしてリィンの言うとおり、ソルが子供の頃から妄想し続けていたやりたいこと、今の世界においてはやらなければならないことは山ほどある。


 片っ端から片付けていけば、いずれこの問題の解決にも至れるだろう。


 こういう時に必要なのは疑心暗鬼や悲観によって座り込むことではなく、少々間抜けに見えても楽観と行動なのだと、そう長くもない冒険者としての暮らしの中でリィンもソルもすでに知っている。

 もちろん最低限の慎重さも必要ではあるのだが、慎重を期すあまり動かないことが一番悪手となる場合が圧倒的に多いのだ。


「まずは神獣アヴリール様の真躰(アウゴエイデス)の確保と、隠里の獣人種(セリアンスロープ)たちの保護ですね」


(かたじけな)い』


「だね。というわけでそろそろ迷宮攻略を開始しようか」


 笑顔のフレデリカの発言を受けて、ソルが立ち上がる。

 

「はーい」


 その言葉に従うリィンとフレデリカが、休憩用の衣装から、通常戦闘用装備へと魔導基礎衣類(ファウンデーション)によって切り替える。


 煽情的な衣装が異相空間へ格納され、リィンは純白、フレデリカは桜色に覆われたほぼ裸体そのままの輪郭(シルエット)を数秒晒した後、見慣れた通常武装が身に付ける内側から順に顕れて魔導光(エフェクト)と共に装着されてゆく。


「やっぱりそれいいなあ……」


 少々――いや相当締まりのない表情を晒してソルが呟く。

 ソルはこの光景がとても好きなのだ。

 

 事と次第によっては自分の手で脱がすよりも、自分の声に反応して魔導光(エフェクト)とともに一枚一枚、亜空間へ消えていく方がいいんじゃなかろうかと思ってしまうほどに。


 ――その上で魔導基礎衣類(ファウンデーション)破いたら、ガウェインさんブチ切れるよな……


 使う機会も覚悟もない割に、機能OFF版の模倣魔導基礎衣類ニア・ファウンデーションの完成を急ぎたいソルである。

 

 本気で引かれそうなので誰にも言ってはいないが、その表情を晒していては一目瞭然ではないのかと、同じ雄であるアヴリールなどは半目にならざるを得ない。


 だがリィンにせよフレデリカにせよ、「何事も相手による」という女性の真理における「相手」の部分がすでにソルに固定されてしまっている以上、()()()()()を向けられることも嬉しいのだからどうしようもない。


 人間ってさあ……と内心で嘆息することを抑えられないアヴリールである。


「我らもガウェイン殿に創ってもらうか……」


(それがし)もですか!?』


 真顔でそういうルーナを愕然として見つめ、孤高にして厳格、すべての魔導生物の頂点たる竜種、それも『全竜』に至ってですら人化してしまえばこうなるのかと、心底神獣(アヴリール)はぞっとした。


 ――人の業こそが、この世で一番恐ろしいものなのかもしれぬ(戦慄)


 人化せざる己が、あのぴっちりした魔導基礎衣類(ファウンデーション)を自慢の毛皮の上から着せられ、ソルの好みの衣装に次々変化する様を想像するとさすがにげんなりしてしまう。

 

 万が一そうなったら雄であるアヴリールではあるが、かつての人の女たちのように「はやく脱がせて?」とソルに対してしなをつくってしまいそうな自分にちょっと笑ってしまったが。

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[一言] 擬人化は日本人最大の業
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