大切な家族
よろしくお願いします。
我が家には血の繋がらない、でも大切な家族がいる。今回はその子の話をしようと思う。
その子に出会ったのは私が中3の冬。
一目惚れだった。
後から分かったことだが、誕生日も1日違い。
これは運命だと思い、母に必死で頼み込んだのを今でも忘れない。
名前は虹に幸せと書いて虹幸。虹の色のようにたくさんの幸せを私たち家族に運んできてくれるように、という意味を込めて名付けた。
虹幸が1歳になる直前にある手術をするため病院に預けた。
そして、その日のお昼ごろ、病院から1本の電話があった。
内容は「虹幸の心臓が止まりそう」というものだった。
一瞬何が起こったのか分からなかった。
が、私も学校がその日は休みだったため、母と一緒に急いで病院へ向かった。
結果、先生や看護師さんのおかげで一命を取りとめた。
しかし、先生いわく「麻酔のアレルギーか心臓に疾患があるため検査が必要」との事だった。
そして、その検査ができる大学病院の予約をその場で取ってくれた。
出来れば何も無くあって欲しい。
何かあったとしても麻酔のアレルギーでありますように。
心臓疾患ではありませんように。
検査の結果が分かるまで、普段信じていない神様に毎日祈った。
結果は先天性の心臓疾患。
しかも日本には虹幸しかいないかもしれないぐらい珍しい病気で、大学病院の先生も初めて見たと言っていた。
そして、日常生活に支障はないけど、麻酔をかけると心臓に負担がかかり不整脈を起こしてしまうため、病気でも怪我でも今後出来るだけ手術は避けるようにしなければならないという事も聞かされた。
訳が分からず、呆然とした。なぜ虹幸なの?どうして?
でも、そんな私たちに先生は去り際にこう言った。
「この子は可愛い顔をしてる。
心臓に疾患があったり、何か大変な運命を背負ってる子は、愛されるために可愛い顔をしてることが多いんだよ。
この子もあなた方に愛されるために生まれてきたんだ」
私はその場では直ぐにこの言葉の意味を理解することは出来なかった。
でも、家に帰り少し落ち着いたところでこの言葉の意味を考え、ハッとさせられた。
虹幸は心臓に疾患を抱えていようとなかろうと私たちの家族だ。
先生は当たり前のことを教えてくれていた。
私は虹幸の病気にばかり思考がいき、そんな当たり前のことも分からなくなっていたのだ。
確かに、他の子よりも手が掛かるかもしれないけれど、それもこの子の生まれ持った個性であり、私たちが気をつけてあげれば手術を避けられることだってたくさんある。
むしろ、手術をする状況が起こらない方が良いに越したことはない、と時間が経つにつれ、だんだんとポジティブに考えられるようになった。
今ではすっかり元気になり、治ってはいないけれど治療は必要ないと先生からお墨付きをいただいた。
新しく増えた家族も含め、虹幸は今でも大切な我が家の家族。
体は1番小さいけれど、家の中では1番のお嬢さま。
後から来たMayにはお姉さんぶって、Mayが悪いことをするとワンワンって教えてくれる。
小さくてふわふわで、私たち家族の大切な大切な虹幸。
これからもずっとずっとよろしくね。
ありがとうございました。