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第45話 VS幼女タッグⅠ

 俺は自室から必要となる装備一式を持ち出して地下室へ向かう。と言っても巾着(マジック)バッグに必要なものは詰め込んであるため、大した手荷物にはなっていない。


 勝手知ったる地下室へ顔を出せば、既にセツナが準備を終えて俺の到着を待っていた。



「セツナ、MPは大丈夫か?」


「はい。後11時間は活動できますので、問題ありません。ですが――」


「わかってる。テストが終わったら補給しよう」


「ありがとうございます!」


「必要なことだからな。それに補給に関してもいろいろ試してみたこともあるしな」



 例えば魔力は俺の物でなくても、他者から補給できるのか。魔晶石のMPを使ってでの補給はできるのか。この辺りも調べておかなければならないことだ。だから研究者であるアーリアがいる時にやれれば好ましい。好ましいんだが……果たして昨晩と同じように補給しなければならなのだろうか。


 取り合えず考えるのは後にして、11時間稼働できると言うことは残りMPは「22」点かな。




名:“カイルの従者”セツナ 種族:魔導人形 Lv11 使役Lv2 使役者:カイル・ランツェーベル

HIT:18(+3) ATK:18(+7) DEF:11(+3) AVD:14(+1) HP:46/46 MP:22/48

MOV:30 LRES:14 RES:15(+1) 魔法ダメージ軽減:6(+6)

行動:命令または自主的な判断による 知覚:魔法 弱点:炎属性ダメージ+2




 念のためステータスを確認すれば、セツナの言葉に間違いはない。ただ、1点気になる点がある。なぜか使役Lvが「2」に上がっている。

 果たしてこんな簡単に上がって良いものなのだろうか? と言うか上限Lvはいくつなんでしょうかね?


 ただステータスを見ても特別な〈スキル〉などは入手できていないようだ。うーん、まぁ低いより高いに越したことはないだろうし気にする必要はないか。



「それで主様、セツナはどのようなテストを受ければよろしいんでしょうか?」


「まずは一通りいろいろやってみるつもりだよ。丁度ミィエルとアーリアさんも来たみたいだし、2人にも協力してもらいながら、ね」



 セツナと話している間にアーリア達も到着したようだ。アーリアならテストをするための道具をいろいろ持っているだろうし、しっかり協力してもらおう。

 と言うわけで、俺はアーリアに基本となる技能職で行える様々な行為判定を行っていく。


 メインとなるのは〈スカウト〉系統、〈レンジャー〉系統、〈セージ〉系統の3種になる。この3種を持っていれば大抵の行為判定は行える。逆を言えば持っていなければまともな結果は得られない。

 TRPGの時であれば、対応した系統の技能を持っていない場合、判定は「素振り」と言って技能修正値もステータス修正値も乗らない、ダイスの出目だけで判定する形になっていた。唯一絶対的成功(クリティカル)さえしてしまえば、どんなものでも行えてしまうのだが、GMによっては技能を持たない判定は振らせないよう処理をするため、キャンペーン後半では形骸化した判定となっていた。


 まぁ普通に考えれば技能がなければ「やり方」も知らないわけだから、普通は失敗しかないんだよね。

 ちなみに俺がGMの時は、ダイスを振りたい人が多かったため、技能無しでも絶対的成功(クリティカル)致命的失敗(ファンブル)も適応して遊んでいた。

 ほら、専門的な行為なら兎も角、誰かが居そうな気配に偶々気づくとかはないわけじゃないじゃない? そういうのは割と認めてたんだよね。



 っと、話が逸れてしまったが、これらを踏まえたうえで俺はセツナに様々な判定を行わせていった。

DEX主体となる薬草使用時の効果量や鍵開けなどの行為判定。これは〈レンジャー〉系統と〈スカウト〉系統が対応している。AGI主体の隠密や、軽業、危機対応判定も同様の技能となる。そしてINT関係は危険感知や探索判定、真偽判定、弱点看破などに対応している。これは3種全てが対応するためいろいろな道具を使いながら確認していく。


 そしてわかった結果が――



「セっちゃん、凄いです~」


「うん。セツナは〈スカウト〉系統の技能も〈レンジャー〉系統の技能も問題なく行えるみたいだな」


「そうね。〈スカウト〉の上位職である〈ハンター〉の〈イニシアティブアクション〉と、同様に上位職である〈カバート〉の〈ハイドウォーク〉を持っているから〈スカウト〉系統は高いレベルと見て問題ないと思うわ。〈レンジャー〉は初級クラスってところかしら」


「バトルドールとしての高い器用度が上手く反映されているから、中堅クラスと言っても良さそうですが。〈セージ〉も同様ですね」



 セツナの推定技能合計レベルは――〈スカウト〉Lv10、〈レンジャー〉Lv2、〈セージ〉Lv2相当だと俺とアーリアの見解は一致した。

 〈スカウト〉系統に関しては俺よりも高い水準を保っている。これなら余程のことがない限り先制判定で遅れは取らないだろう。


 とても優秀なセツナに労いの意味も込めて優しく頭を撫でる。



「セツナ、お疲れ様。セツナが優秀で俺は鼻が高いよ」


「主様に喜んで頂けて、大変嬉しく思います♪」



 はにかむセツナは実に可愛らしい。



「想定以上にセツナちゃんは優秀ね。これなら斥候としても、どこのパーティーからも引く手数多よ」


「どこの~パ~ティ~にも~、出しませんけどね~」



 ミィエルがドヤ顔でアーリアの言葉を否定しているのは何故だろう。まぁパーティーリーダーがミィエルなら間違いではないのか。



「《一般技能》系はおいおい確認していけばいいだろうし、最後に戦闘能力を確認するとしようか」



 《一般技能》に関しては冒険者としてそこまで重要視されない。TRPGではフレーバー技能とも言われているものだ。まぁ水泳などの判定を行えたり、〈コック〉なら料理判定で追加効果があったりするから決して「死に技能」ではないことだけ言っておこう。



「主様、戦闘能力と言ってもどのように推し量るのでしょうか?」


「あぁ、それに関しては俺が直接確かめるつもりだ。簡単に言えば模擬戦だな」



 俺の言葉にセツナは目を丸くして驚き、アーリアは「成程ね」と得心の笑みを浮かべる。



「あたしにカイル君とセツナちゃんの戦闘能力を直接見せてくれるのね」


「えぇ。スタータスだけじゃわからない部分も多いですからね」


「でもいいのかしら? 本来、手の内は隠す(・・・・・・)ものじゃないのかしら?」


「構いませんよ。俺はアーリアさんと敵対するつもりはありませんし。手の内がバレたところで困りません」



 むしろ手の内がバレたところで対応できる程度の技量ではないつもりだ。カイル()はそういう風に成長(ビルド)してきたし、恐らくLOFの中でも俺程多種多様な【特技】を使うPCなかなかいないことだろう。対応できるものなら是非してほしい。そしてメタられた条件での実践を俺に経験させてください。



「第一、俺への対応策なんて簡単ですよ? 魔法使い大漁に並べて魔法ぶっぱで即終了ですよ」


「それはあんただけに言えることじゃないんだけど?」


「必中効果の乗った物理攻撃でも同じですね。俺、紙装甲なんで」



 回避型に対して回避判定すらさせてもらえない必中攻撃は天敵だ。糞だと言って良い。まぁその手の攻撃はTRPGの時には、あまり種類が存在しなかったのが幸いだろうか。現実世界(こっち)じゃわからないけども。



「それとさっき話した通り、ミィエルも模擬戦に参加してくれ。セツナとタッグで、相手は俺だ」


「いいですけど~、セっちゃんと~、一対一でやらなくて~いいんですか~?」


「どちらかと言えば、ミィエルとセツナのコンビネーションを早い段階で練習してもらいたいんだ。そのために、今現在2人がどんな風に動けるのか見ておきたいと思ってさ」



 だから全力で来てくれよ、と俺は準備をしながら告げれば、ミィエルもセツナも真剣な表情で頷いてくれる。「だからミィエルもフル装備だったのね」と、この提案にアーリアは驚きながらも納得の表情を浮かべていた。



「じゃ~カイルく~ん。全力で~、いきますからね~」


「主様。ご指導の程、よろしくお願いいたします」


「おう」



 俺は巾着バッグから必要な装備を取り出し、いつもの身軽な状態からフル装備に近い状態へと整えていく。

 その間にミィエルとセツナは集まって何やら作戦を練っていた。姉妹のように仲の良い2人だ。最初からコンビネーションも期待できるんじゃないかと思っていたりする。



「よし、こっちは準備できたぞ」



 左手には【ラウンドシールド】。帯剣ベルトには2本の魔剣【魔剣クレア+1】と【魔剣シオン+1】。さらに【ブロードソード+1】を2本の計4本。これ以上は佩けないため、背中のウェポンホルダーに【ルナライトソード+1】を差し込んでおく。後はいつものぬいぐるみ付投げナイフと、【マナコート加工されたエルハートケープ】などを雑囊(マジックポーチ)へと収納し、同様に装備を整えた2人に相対する。


 ミィエルは腰に佩いた【狂飆(きょうひょう)の霊刀】で抜刀術の構えをし、セツナは【ストレージブレスレット】から取り出した自分の身長と変わらない【ミスリル製グレートソード】を両手持ちで正眼に構える。



「さて、一応言っておくけど、寸止めとかいらないからな。2人とも、俺を殺すつもりで来るように」



 そうでもなければ戦いにならない。それ程まで俺と2人の間には(レベル)の差があるのだ。

 俺はだらりと自然体で立ちながら、ゆっくりと呼吸を整える。先手は譲るし反撃は最小限にする。


 彼我の距離は10m。ひりつくような空気の中、俺の視界に映る2人は互いに視線を合わせて頷くと、一斉に別方向へと行動を開始する。







 ★ ★ ★





 正面から挑むミィエルと、カイル君の死角へ廻ろうとするセツナちゃんの動きを見ながら、あたしはそれぞれのステータスを【神眼・精霊の眼(エレメンタル・サイト)】を通しながら比較する。

 ステータス表記は比較しやすいようにセツナちゃんと同じ表記へと変換する。




名:カイル・ランツェーベル 種族:人間 Lv13

HIT:20 ATK:19 DEF:5 AVD:24 HP:76/76 MP:77/77

MOV:61(+18) LRES:18 RES:19 

【状態】

〈ヘイトリーダー〉ヘイト値上昇・攻撃対象率増加

【ブラッディオブバサラ】ヘイト値上昇・火属性ダメージ軽減3点

【蝙蝠ピアス】〈知覚:魔法〉取得。




名:ミィエル・アクアリア 種族:精霊 Lv8

HIT:16 ATK:13 DEF:4 AVD:17 HP:36/36 MP:30/30

MOV:42 LRES:10 RES:11

【状態】

〈イニシアティブアクション〉攻撃速度上昇



名:セツナ 種族:魔導人形 Lv11 使役Lv2 使役者:カイル・ランツェーベル

HIT:20(+2) ATK:20(+2) DEF:11 AVD:16(+2) HP:41/46 MP:21/48

MOV:30 LRES:14 RES:15

【状態】

〈イニシアティブアクション〉攻撃速度上昇

〈ハイドウォーク〉ヘイト減少・隠密効果

〈限界駆動〉HIT・ATK・AVD 各+2

【マギカハーミット】魔法ダメージ軽減6点



 こうして見るとミィエルのレベルの低さが目立つわね。まぁ二桁レベルが比較対象じゃ仕方ないのだけれど、カイル君のステータスは本当に暴力的に高いわね。あれでまだ武器を持たず、防具でさえメインでないのにこの数値だもの。〈エンハンサー〉系統でステータスも底上げされたら、と考えると鳥肌が立つわね。


 ミィエルが絶賛するカイル君の戦闘と、装備でフル強化されたセツナちゃん。ついでにミィエルの今の実力も、特等席で見るとしましょう。







 ★ ★ ★






 先手を譲った俺に正面から戦おうと一直線に向かってくるミィエルは、抜刀術を駆使して俺を両断しようと迫る。確か〈一ノ太刀・旋風〉だったか? 鯉口を切るとほぼ同時に風属性を纏った刀身が美しく閃く。普段の明るく無邪気な雰囲気は既になく、剣士としての殺気を乗せた凶刃を、上体を後ろに逸らすことで躱す。

 即座に切り返される斬撃。後方に1歩、ステップを刻むことで紙一重でやり過ごす。感覚的に回避には余裕がある。今回は模擬戦の為外している【マジックベルト・マナブレイダー】があれば、反撃も狙えるだろう。

 それがわかっているからか、ミィエルから焦りの色は見えない。むしろ躱されると解っていながらも次々に【特技】を放っていく。



「〈三ノ太刀・大嵐〉――」



 小さな身体から放たれたとは思えないほどの高速回転斬りを半身になって避け、



「――二連っ!」



 回転の勢いを活かして軌道修正された一閃も体捌きで躱す。鼻先を掠める鋭いを見送りつつ、サイドステップで身体を横へ滑らせる。刹那、背後から振り下ろされたミスリルの刃が唸りを上げ、通り過ぎる。

 隠密と〈ハイドウォーク〉からの〈全力攻撃Ⅱ〉+〈限界駆動〉を乗せた不意打ち(バックスタブ)。遮蔽物がない空間で、ミィエルを注目させてからの意識外攻撃。

TRPG(ゲーム)時代なら回避に「-4」点のペナルティが発生する攻撃だ。今のは正直ヒヤリとした。【蝙蝠ピアス】で魔法の知覚を得ていなければ、出目次第(・・・・)では喰らってたんじゃないか?



「やぁっ!」



 振り下ろされた刃が勢いを無視するように斬り上がられたミスリルの刀身を、俺はバク転で躱し一度距離をとる。

 冷静に2人の行動を分析し、素直に内心賞賛を送る。

 先制判定を放棄したため、ミィエルとセツナには〈イニシアティブアクション〉の効果が発動しているはず。行動速度が上昇しているこの間を最大限利用。ミィエルは俺の注意(ヘイト)を集めつつ、〈ハイドウォーク〉を持つセツナを俺の意識から外すように攻撃。連続攻撃によりセツナから注意が外れた瞬間、最大火力攻撃を背後から見舞う。

 即席とは思えない良いコンビネーションだと思う。


 と言うか、〈ハイドウォーク〉が想像以上に強いな。


 〈ハイドウォーク〉は移動阻害されず、攻撃対象にされづらいと言うスキルであったが、現実になると意識しててもセツナの存在を見失いそうになるほど強い効果を発揮している。狙ってバックスタブが取れるスキルだとすると相当な強スキルじゃないだろうか。

 遮蔽物や暗闇での戦闘なら、セツナの攻撃を躱せる相手などほとんどいないんじゃなかろうか。


 やっぱり【ダーカーザンハーミット】ほしいなぁ。お金を貯めて買うとしよう。


 俺は雑囊から〈フェンサー〉御用達の最初期にして最高率の盾、と呼ばれる【バックラー】を右手に装備する。この【バックラー】も装備するのは【エルハートケープ】を入手以来じゃなかろうか。ちょっと感慨深――ってミィエルが速いなぁおい!


 俺が二つの盾を装備し終えるとほぼ同時、即座に距離を詰めたミィエルの斬撃が幾度も俺を捉えようと美しい弧を描く。

 わかっていたけど、改めて見ればLv8のミィエルとLv13の俺のAGIがほぼ互角だもんなぁ! 本当ミィエルの霊刀はチートだと思うよ!



 俺は軌道を読み、体捌きで躱し、二つの盾を利用して危なげなく受け流す。ほぼ同時に再びバックスタブからのセツナの斬撃を盾で側面を弾き(パリィ)。軌道を逸らすことで往なす。



 特技スキル【双盾術】――〈風に揺らぐ柳の如し〉。



 両手に装備した盾の効果を受けつつ、回避判定に「+4」のボーナスを付与する防御主体のスキル。ペナルティとして他全ての行動判定に「-4」の修正がつくため物理職としては使いづらいスキルだが、魔法も扱える俺には全く問題がない。



「セっちゃん!」


「わかりました! やぁっ!」



 ミィエルの合図とともに今度はセツナが俺の正面へと周り、後方へと下がったミィエルが【マジックポーチ】から数本の矢を取り出して宙へと浮かせる。

 ミィエルは確か〈エレメンタラー〉だったよなぁ。そこに飛び道具ってことは――げぇっ!?


 あれは間違いなく、妖精魔法の1つである〈ラピッドシュート〉。飛び道具を必中攻撃とする攻撃魔法。使用する飛び道具によって物理にも魔法ダメージにも変更できる優れた魔法であり、物理防御力が低い回避主体(おれ)の天敵とも言える魔法だ。

 セツナの斬撃を躱しながら俺は自身に急いで〈プロテクションⅡ〉を付与。さらに右手の【バックラー】を【ウェポンホルダー】へと収納し、代わりに【ルナライトソード+1】を引き抜き――



必中掃射(射貫いて)! 〈ラピッドシュ~ト〉っ!」



 ミィエルの声に合わせて複数の矢が高速で飛来する。その速度は俺の目をもってしても正確には捉え切れない。だから俺は盾の前に剣を重ねるように構え、



「光壁っ!」



 音速とも言える矢の嵐を――淡い光の壁で全て受け止めた。



 特技スキル【光陰剣術】――〈不破の光壁〉。



 本来攻撃に使用する魔力を、光壁へと変換し、攻撃を捨てることで防御力を魔力分上昇させる防御スキル。INTを「12」点上昇させる〈エルダーズノレッジ〉と併用することにより、俺のDEFは「24」点まで上昇する。さらに〈プロテクションⅡ〉の効果でダメージを「3」点軽減するから、「27」点以下のダメージは通らないことになる。計算ではクリティカルでもしない限り、ミィエルの〈ラピッドシュート〉では俺の防御力を超えることはできないはず!

 結果、ミィエルの〈ラピッドシュート〉は俺の防御力を超えることが出来ず、光壁に弾かれ地面へと落ちる。



「そんなのありですか~!?」


「これぐらいの物理ダメージなら正面から受けて――もぉっ!?」



 上半身をスウェーで後方へと逸らすと、光壁を砕きながら、目の前をミスリル製の大剣が轟音を立てて通り過ぎる。さすがにセツナの攻撃までは俺の防御力では無力化できないわ。セツナなら平均で「40」点近くのダメージを叩きだせるはずだからな。

 再び振るわれるセツナの豪剣を盾で受け流して俺は一旦距離を取り、〈限界駆動〉の使用によって減少しているセツナのHPを〈アースヒールⅡ〉で回復させる。



「あ、ありがとうございます。主様」


「も~! カイルくんは~避け過ぎですよ~!! 大人しく~、斬られてください~っ!!」


「いやいや、セツナは勿論だけど、ミィエルの斬撃もまともに喰らったらヤバいでしょ!」



 近接攻撃が当たらないのは覚悟していたのだろうが、〈ラピッドシュート〉まで完全に防がれたのは相当に予想外だったらしい。ミィエルがとても不満そうにぶー垂れる。



「カイルくんなら~、大丈夫だと思います~」


「はい。主様なら問題ないはずです!」



 いや無茶言わないでよお二人さん。冷静に考えて無理だから。30万Gぶっこめば、一応最大で「35」点までは防げるけどさ。模擬戦でそんなのしないからね?



 まぁでも、2人のコンビネーションと今の実力は大体わかったかな。後は俺の支援(バフ)をある程度受けた時の動きを試しておこうか。


 会話で一旦間が置かれたことで小休止となったところで、「じゃあ2人とも」と俺はさらに2人に提案をすることにした。



「あと少しだけ付き合ってもらっていいか? 今度は、俺の支援を2人にできる限り掛けるから。その状態で1分ほど動いてみようぜ。次は俺も少しは反撃させてもらうからさ」



 頷いてくれる2人に「ありがとう」と返し、俺は2人にできる限りの支援を掛けるのだった。


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