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第42話 ザード・ロゥの有力者達。暗躍する者達

マスターシーン回です。TRPGだとマスターシーンって必要だと思うけど長すぎると吟遊になるから、加減が難しいですよね

「いらっしゃいませ、アーリア様」


「こんばんはマスター。いつものいただけるかしら? お代はそこの小僧(ギルマス)が持ってくれるわ」


「かしこまりました」



 ピアノの演奏が落ち着いた雰囲気を演出し、カウンターでは静かにグラスを磨いていたマスターにあたしがこの店で良く頼むカクテルを注文する。そのまま冒険者ギルドのギルドマスターであるロンネスの隣へと腰を下ろす。普段はもう少しにぎわっているのだが、今は他にお客の姿が見えない。あたしたちの貸し切りのようね。



「やはりお代は私が持たなければならないのかね?」


「当り前じゃない。あたしはさっきまで、(うち)で楽しくパーティをしていたのよ? せっかく気持ちよく飲んで、あとはゆっくりと寝るところを呼び出されたのだから、それぐらいは当然よね?」


「飲んできたのにまた飲むのかい?」


「BARに来て飲まないなんて、あんた何のためにあたしを呼んだのよ?」



 話を邪魔しないよう静かにグラスを置いてくれるマスターに礼を言い、一口。やはりこの店のマスターの腕は確かね。



「いつも通り美味しいわ、マスター」


「ありがとうございます」


「じゃあいつものコースをマスターのタイミングでお願いできる?」


「かしこまりました」



 このお店に来たら必ず飲むカクテルをマスターお任せのタイミングで注文する。いちいち注文して話を折らないように、とのマスターのサービスだ。マスターとは長い付き合いで、あたしの飲むペースや話の合間の丁度良いタイミングでそれらを出してくれるので、信頼して任せられるのよね。



「それで、話ってなんなのよ? ロンネス」


「私も話をしたいのだがね。もう一人、ダルタニアを呼んでいるんだ」


「あぁ、“赤雷亭”の坊やね」



 と言うことは、カイル君のことをあたしの口から直接聞きたいってことね。ロンネス(ギルマス)ダルタニア(赤雷亭)が。



「面倒ね。帰っていいかしら?」


「だはは! 面倒事が大好きなアーリアらしくない発言だな!」


「まったくだ。面倒事(好きなこと)を我慢するなんてアーリアらしくないじゃないか」



 あたしの隣に並ぶようにダルタニアとジョンがカウンター席に着き、マスターにウォッカとカクテルをそれぞれが注文する。



「……なんでジョンまでいるのよ?」


「ついさっきそこで会ってな。どうせなら一緒に飲もうと俺が誘った」


「メンバーが昔馴染みだったからね。ついつい僕もお誘いに乗ってしまったのさ」



 何が「ついさっきそこで会った」よ。万年引きこもりのジョン(こいつ)が生身で外出するはずがないじゃない。

 あたしは思わず出る溜息をカクテルで飲み干し、「久しぶりの娑婆の空気はどうかしら?」と投げかける。ジョンは満面の笑みで「実に美味しいね」と答えてくれるので「ならもう悔いはないわね」と思わず視線に言葉を乗せてしまう。



「ははは! 僕への愛が重いよアーリア」


「心配しなくてもすぐ重さなんて感じなくなるわ。安心して」


「うわーん。ダルタニア、僕を助けてよ~」


「俺を挟んで殺気を飛ばし合うな、擦り付け合うな。酒が美味くなるだろう?」



 ウォッカを煽りながら嗤うダルタニア。こいつには恨みはないけど、遮蔽は邪魔だから一緒に消し炭でもいいかしら?



「……私の目の前で刃傷沙汰は控えてもらえないかね?」


「心配いらないわ。死体(なに)も残らないもの」


「おいおい。今日は一段と増して発言が物騒だぞアーリア。良いことでもあったのか?」


「良いことをしていたのに邪魔されて、さらにジョン(こいつ)の顔を見てイラついてるだけよ。可愛い乙女の癇癪ぐらい受け止めてくれるわよね? あんた達(ジェントルマン)?」


「酒代は私がもっているだろう? ジョンは私も呼んでいないが、ついてきてしまったものは仕方がないだろう、アーリア」


「ならあたしが気分悪くなったので帰っても仕方ないわよね?」


「それとことれとは話が別だぜ、アーリア」



 あたしの言葉に苦笑いを浮かべるロンネス。すました顔でウォッカを煽るダルタニアに、彼の影に隠れて煽るような笑みを浮かべるジョン。そしてそっとカクテルを出してくれるマスター。長い付き合いなだけあって、全員そろって面の皮が厚い。


 まぁジョンがここにいる理由は簡単に検討が付く。大方ダルタニアがジョンを使ってカイル君のことを調べまわしていたってところかしらね。そして調査が芳しくないので直接確かめにきた。ジョン自身も同じ要件ってところよね。



「悪いけど、あたしもギルマスに渡した情報しか知らないわよ」



 だからさっさと本題へ入ることとする。このままくだらない言い合いをしても時間が勿体ないものね。それに、折角だから貰えるものも貰っておかなければならないものね。カイル君には伝えてなかったのだけれど、【群青の魔将宝玉】の一件はまだ報酬の査定が終わってないのよ。



「さすがに察しはついてたか。しっかしアーリア、ありゃ最初は“赤雷亭(俺の所)”に来て時間まで取ってったやつだぜ? それを横取りはひでぇんじゃねぇのか?」


「馬鹿言ってんじゃないわよ。商売繁盛して対応を疎かにしたあんたの怠慢じゃない」


「しかしよぉ」


「料理下手のあんたの悩みを、解決してあげたのは誰だったかしらね?」



 フリーの冒険者のスカウトなんて基本的には早い者勝ちだ。それも一度店に足を運んだカイル君の対応をしなかったダルタニアに文句を言われる筋合いなどないし、何より彼は“妖精亭(うち)”でなければ扱いきれるものではないだろう。彼は普通の冒険者の宿程度が抱えられる人材じゃない。



「ま、その通りだがよぉ。アーリア、お前がミィエルと組ませるように言うぐらいだ。余程腕が立つんだろう?」


「剣士なのにウェルビー君を素手でのしちゃうくらいだもんねぇ」


「私自身がこの目で確認している」


「その話、マジだったんだな」



 にわかには信じられない、と驚きの表情を浮かべるダルタニア。あたしですらその場にいて驚きを通り越して呆れたのだから、その反応は無理もないかもね。でもね、あんた達にはこっちの方が驚きかしらね?



「あたしが組むように言ったわけじゃないわよ。ミィエル(あの娘)が自分からパーティーを組むって言ったのよ」


「僕にはそれがいまだに信じられないんだけどね」



 お酒を煽りながら不機嫌を隠さないジョンに、ダルタニアも追随して頷く。



「俺ん所の序列一位、二位からの誘いをも断るミィエル嬢ちゃんが自ら志願なんざ、嬢ちゃんを知ってる俺らからすれば信じがたい話だわな」


「それだけそいつらに魅力がなかったってだけの話じゃない。あたしに文句を言わないで頂戴」


「最高レベル11のパーティーに魅力を感じなかったら、何に感じるんだって話だよ。しかもカイル(そいつ)は9レベルって話じゃねぇか」



 「だろ?」と目でロンネスへと問いかけるダルタニアにロンネスは肯定を返す。



「偽装魔法を教授されていたがね。看破した結果、レベル9と言うのは間違いない」


「オリジナル魔法まで教えてんのかよ。成程、嬢ちゃんだけじゃなくアーリア自身も相当気に入ってるんだな。あの坊主のことが」


「えぇ。少なくともここにいる男共よりは魅力的よ」


「はは! まぁそうだろうな。ふらりと現れて、持ち込んだ情報が情報だからな。冒険者ギルドですら掴んでない情報(もん)を、一体そいつはどうやって手に入れたんだろうな?」


「話を聞く限りは『たまたま』でしかなかったわね。“谷越え”を果たし、迷い込んだ森でたまたまエルフの集落へ辿り着き、たまたまきな臭い情報を嗅ぎ付けた。それだけよ」


「お前さんはそれを信じるのかよ?」


「信じるわよ。あたしの目を誤魔化せるような嘘つきではなかったし、なによりその方が楽しいじゃない」


「ははは。アーリアらしいね」



 喋りっぱなしだから喉が渇いてカクテルの進みが早いわ。マスターも最高のタイミングで次から次へとカクテルを出してくれるものだから、ついつい手を伸ばしてしまうのよね。



「それで、その案件の進みはどうなんだ?」



 カクテルに口を付けるあたしの代わりにダルタニアが話をロンネスに振ってくれる。



「森の調査は順調だ。情報通り、儀式を行う祭壇も発見されている。獣の類は『魔神』の脅威から逃げていたのか、森の奥地に避難しているのも確認されている。そして問題は君達が持ち帰ってきた【群青の魔将宝玉】だ。“赤雷亭”にも後に正式に通達が行くが、こいつには冗談では済まされない化け物を呼び寄せる力がある」


「へぇ、どんな化け物だったんだ?」


「魔神将グランドブレインイーターだ」


「なっ!?」


「をいをい、冗談だろう?」



 思わず椅子を蹴り倒して立ち上がりそうになるダルタニアと引きつった表情のジョンに、ロンネスは「冗談ではない」と首を振って応じる。



「驚きすぎよ。マスター、こいつらにもおかわりを」


「驚かずにいられるかよ! 魔神将だぞ!? んなもんが出た日にゃあ――」


「国が滅びてもおかしくはないわね」



 全員が頷き、一息を入れて気持ちを落ち着かせる。想像以上の危機的状況だったことに3人とも肝が冷え、背中に脂汗が流れたことだろう。そう、それくらいの相手なのだ。

 それを彼は涼しい顔で「倒してきた」と言い、ミィエルは「カイルくんが~、1人でやっつけちゃいました~」なんて言うのだから、あたしは今のあんた達よりよっぽど肝が冷えたものよ。



「俺ん所の序列一位と二位を導入すれば何とか撃退は可能かもしれねぇが……」


「死傷者は免れまい。レベル7以下のやつらでは支援どころか足手纏いにしかならぬだろうな」


「今の現役冒険者全員をかき集めても勝率は3割ぐらいだったのかな? いやー、Mr.カイルとミィエルはこの街を――ひいてはハーベスター王国を救った英雄だね」


「もっとも、カイル君もミィエルも【群青の魔将宝玉】がそんな危険なアイテムだなんてわからなかったみたいよ。あの娘達は解析系が少し弱いから。魔神の中に“ダブル”が居たから、気になって回収してくれたみたいなのよ」


「良い判断だったな。おかげで扱いに困るところではあるが……」


「そのあたりを考えるのは冒険者ギルド(あんた達)の仕事でしょ。頑張りなさい。後、ちゃんとあの子たちに追加報酬を渡しなさいよ?」


「わかっている。此度の一件、彼らの貢献は大変大きい。必ず対価は支払わせてもらう」


「えぇ、そうして頂戴」


「その際には冒険者ギルドに顔を出してもらいたいのだが、構わないかね?」


「さぁ? 本人たちに訊いてみるわ」


「よろしくお願いするよ」


「話すだけよ。あたしは強制したりしないから」



 「わかっている」と頷くロンネスを見て、呼び出されたついでに果たすべきあたしの仕事も終わったわね、とカクテルを煽る。次のカクテルであたしのいつものコースは終わり。それをいただいたら帰るとしましょう。


 あたしの気持ちを察したマスターが手早くカクテルを作り、差し出してくれる。本当に気の利くマスターだ。笑顔でお礼を述べてグラスを手に取り、美味しくいただこうとするあたしにダルタニアが「なぁアーリア」と声を掛けてくる。



「何かしら?」


「そいつを俺に紹介してくれよ」


「嫌よ、面倒だもの」


「好きじゃねぇか、面倒事(そう言うの)


「はぁ。あのね? 物事には“質”があるのよ? あたしはね、質の良い面倒(こと)なら喜んで引き受けるけど、あんたみたいな粗悪品はごめん被るわ。どうせ挨拶がてら、ろくでもないことを仕掛けてくるつもりでしょう?」



 例えばダルタニア自身が決闘を申し込むとか、こいつの所にいるやつらがミィエルと彼自身をかけて決闘を仕掛けてくるとか、ね。そんな面白くもない面倒事なんかに、あたしは手を貸す気はないわ。それに――



「俺が動かなくても、うちのやつらが動いちまうと思うけどな」


「わかってるなら止めなさいよ」


「それこそ嫌だね! 俺は決闘や勝負事(そう言うの)が大好きだからな」



 にかっと笑うダルタニアに「知ってるわよ」と心から溜息を吐く。それにあたしの予想ではダルタニアの言う通り、他の冒険者の宿に所属するパーティーがカイル君を取り込もうとするのは必定だろうし、“赤雷亭”の彼らが決闘を申し込んでくることも防ぎようがないだろう。

 勿論、カイル君ならうまい具合にあしらうだろうし、彼を正面から(くだ)せる冒険者は恐らくこの街にはいない。だけどそれは正々堂々と彼と決闘などをした場合の話だ。



「まぁスカウトや正々堂々とした決闘に関しては、あたしも関与するつもりはないわ。冒険者ギルドが禁止している私闘でないのなら、仕方ないと思うもの」


「パーティーの成長と生存能力を上げるためには必要なことだからな」


「でもね、ダルタニア。いえ、ロンネスとジョンにも忠告(お願い)しておくわ」



 話しかけられ、口を付けられていないカクテルグラスを手で弄びながら、あたしは最悪の想定を彼らに告げる。



「カイル君は良い子よ。情が深くてお人よし、優しくて懐も深いわ。あたしや、ミィエルが認めた男だもの。だから決闘や勧誘は辟易してもちゃんと付き合ってくれるわ。でもね?」



 今までの彼の行動を鑑みても苦笑いをしながら冒険者たちに付き合ってくれるのは間違いない。むしろ自身を餌にして取り込もうとされるミィエルや、それ以上の爆弾であるセツナを巻き込まないように自分が矢面に率先して立つことだろう。そんな優しい彼だからこそ、踏み抜いてはいけない地雷があるのだ。



「人道に反するような行為は絶対にしないで頂戴」



 カイル君の甘さに付け込んで――踏まなくて良い虎の尾を踏み抜くことだけはしないでほしい。

 そんなことになれば、もうあたしでは抑えることはできないだろうから。



「今回はミィエルも関わってるもんね」



 ジョンがあたしの言葉に納得の意を示し、



「嬢ちゃんはアイドルだからな。うちだと“紅蓮の壊王”が暴走しないよう注意しとくさ」


「私も目を光らせておくさ」



 ダルタニアもロンネスも深く頷く。彼らにはあたしの心配は伝わっていないだろう。でもそれでいい。ミィエルに害が及ばないか心配なのは間違いでもないのだから。

 あたしは最後の一杯を口に含んで味わうと、「ご馳走様」とマスターにお礼を言って席を立つ。あたしから彼らに話すことはもうない。いえ、1つだけあるわね。



「そうだロンネス。1つだけいいかしら?」


「何かねアーリア?」


「もう1人、冒険者登録をしたい娘がいるのだけれど、近々伺ってもいいかしら?」


「あー、もしかしてMr.カイルとデートしてたセツナちゃんのことかな? 黒髪美少女の」


「相変わらず耳が早いわね出歯亀ジョン」


「お褒めに預かり光栄だよアーリア」


「……それで、その娘の登録もすればいいのかね?」


「えぇ、お願いねロンネス」


「ちなみにどれほどなのかね?」


「ミィエルと同等ぐらいかしらね?」


「成程。なるべく早く行えるよう整えよう」


「お願いね」



 今度こそもう話すことはない。だからあたしは一応「ロンネス、ご馳走様」とだけ告げて彼らの下を後にした。背後から「こりゃ相当荒れるな」と言う楽しげに言う声と疲れた溜息を背中で聴きながら。








★ ★ ★









「クソッ! クソッ! クソォッ!」



 燭台の明かりだけ灯された暗い部屋で、愚かな男の苛立った声が響く。



「どうして私がこのような目に……それもこれも全て奴の所為だ! 奴がしくじりやがるからっ!」



 マジックバッグに今まで貯めこんだ金品を詰め込めるだけ詰め込み、この一件に自らの関与を示す物的証拠は全て焼却していく。己の身を守るために。そのためにいつも侍らせている侍従すらも遠ざけて。



「これで……後は通信の通りであれば、私を迎えに来るはずだ。彼らには相当な金をつぎ込んでいるのだ。絶対に、私を安全な場所に案内するはずだ」



 己に言い聞かせ、慰めるように何度も「大丈夫だ」と口にする愚かで浅ましい人間の姿。あぁ、なんとも醜く可愛らしい姿なのだろうか。可能であるならば、ガラスケースに閉じ込めて干からびるまで観賞していたい。これがあのマイルラートの信徒を名乗るのだからなおさらだ。

 思わず湧き出る衝動。このままでは抑えきれなくなりそうなので、(わたくし)はゆっくりと闇から人間の前に姿を現すことにした。



「お迎えにあがりました、ヨヨザルト様」


「っ!? 誰だ!?」



 あぁ、そのような怯えた瞳を向けないでいただきたい。興奮のあまり思わずより強大な恐怖を与えたくなるではありませんか。疼く本性を笑顔と言う仮面の下に隠し、私は恭しく礼をする。



「“見えざる手(インビジブル)”よりお迎えにあがりました、ダウスィーでございます」


「おぉ……おぉっ! 待って居ったぞ! しかしその姿。よもやエルフであったとは……」


「難民に紛れて入り込むには都合がよろしかったものですから」



 私の言葉に一瞬苦虫を嚙み潰したよう表情を浮かべるも、私が微笑みかければ「ならば急ぎ私を連れだしてくれ」と落ち着きを取り戻す。どうやら私が現れたことにより若干なりとも安堵を感じているようだ。あぁ、何とも可愛らしく実に愚かなのだろうか。貴方の命運は既に決まっていると言うのに。



「夜が明ける前にここを出立いたしますので。荷物はこちらへ。私の持つマジックバッグならば一つに収まりますので」


「あぁ、助かる。ではこれらを頼もうか」



 ヨヨザルトは笑みを浮かべ、己の財産である金品が入ったマジックバッグを私へと渡してきます。これでこちらの世界で活動するための資金には多少なりとも困ることはないでしょう。後は、あの方を再び呼び戻すための仕掛けを回収しに行くだけです。そのためには、残念ですが子羊らしい使い方をさせていただくとしましょう。



「ではこちらへいらしてください。ヨヨザルト様の身の安全は、ダウスィーが補償いたします」


「よろしく頼むよ」


「えぇ、お任せください」



 私はヨヨザルト(可愛い子羊)にもう一度微笑みかける。

 彼は大いに私達の役に立ってくれるであろう。そのためにも、今は一時の安堵を提供して差し上げなければ。だってそうでなければ、今際の際に極上の恐怖(幸せ)を差し上げることができなくなってしまいますから。



「そうでございますよね? キャラハン様」


いつも閲覧ありがとうございます。

よろしければブックマークと評価の程、よろしくお願いいたします。


次回は主人公であるカイルの視点に戻ります。

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