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第10話 決して閑古鳥が歌い踊るなど言ってはいけないよ。いいね?

「ここがザード・ロゥかぁ。外壁たっかいなぁ」



 昼休憩を終え、走ること凡そ1時間。しっかりとした街道と広がる平原の中に、石造りの高い外壁に覆われた街が堂々と鎮座していた。外壁自体5mはあろうかと言う高さを誇り、鎧戸が開け放たれている門も3mの巨人ですら潜れそうな大きさをしている。街と言うより城塞都市だよねこれ。

 本当ならばゆっくりと見て回りたいところなんだけど、目的を果たした後で良いだろう。

 門に控えている兵士二名の力量を確認。Lv3とLv4か。割と高いのではないだろうか。共通語が通じるのはわかっているので、にこやかな笑みを浮かべて「どーも」と話しかける。



「見ない顔だな? 旅人か?」


「一応冒険者です。7日程彷徨ってようやっと辿り着けまして。中に入ることはできますか?」


「ふむ。身分を証明できるものはあるか? 例えばエンブレムとか」


「! これなんですけど」



 俺は雑囊から4枚羽根の蒼い鳥がモチーフとなったエンブレムを提示する。すっかり忘れてた。そういえば丁度直前までやっていたセッション内容的に外していたんだった。

 この直径5cmほどのエンブレム俺がアルステイル大陸で所属する冒険者であること――それも名の売れた冒険者の宿所属であることの証明になるのだ。果たして別大陸で通じるだろうか。

 門番は2人交互にエンブレムを確認し、「確かに冒険者ギルドの刻印はあるな」と頷く。



「しかし見ないエンブレムだな。どこから来たんだ?」


「交易都市ルプト・ハーツェンから来たんですが、聞いたことないですかね?」


「聞いたことないな。もしかして蛮族領の向こう側か?」



 どうやらこのビェーラリア大陸は、『混沌』勢力である魔族・蛮族の領地で人族の領地が分かたれている大陸のようだ。とりあえず話を合わせておけば問題ないだろう。



「あー、やっぱり……実は乗ってた飛空艇が墜落しましてね。何とか命辛々生き延びたのはよかったんですが……これは帰るのは相当苦労しそうです」


「そりゃぁ……大変だったな。取り合えずあんた、ザード・ロゥは初めてなんだろう? すまないが詰め所で手続きをしてもらえるかい? 後は入市税を200Gいただくが払えるか?」


「構いませんよ」



 てきぱきと動く門番に従い、門塔内へ案内される。羊皮紙に必要事項を明記――ちゃんと文字も問題なく読み書きできた――し、神官による〈サーチ・カオス〉を受ける。『混沌』の勢力でないことが判明したので、後は入市税を支払い無事ザード・ロゥ内へと入ることができた。



「そうだ。この街で有力な冒険者の宿ってどこにあるか訊いても?」


「ここから中央通りへ出たら東へまっすぐ行った所に“曇天の赤雷亭”って冒険者の宿がある。この街で冒険者の宿と言ったらそこだな。目印はモクモクした雲の中心に雷マークですぐわかると思うぜ」


「“曇天の赤雷亭”ですね。ありがとうございます」



 門番に礼を言い、門からでも窺えた賑やかな街並みに視線を向ける。この街の中心へと向かう主要道路――中央通りは南北東西の街門へと続いており、中央通りに近い店程大手、大店、人気店と言ったところだろうか。

 俺が訪れた南門付近は商業通りのようで飲食店や露店は勿論、市も多く開かれており大いに賑わっている。あー、ゆっくりと食べ歩きでもしつつ観光と洒落こみたい。あの串焼きとかめっちゃ美味そうじゃん。

 後ろ髪惹かれる思いを多少抱きつつ、足早に目的地――“曇天の赤雷亭”へと足を進める。


 門番の言っていた通り、雲と雷のエンブレムを掲げた店――冒険者の宿“曇天の赤雷亭”はすぐ目に入る位置にあった。中央通り沿いかつ中央寄り、店の規模も大きく4階建て、一目で大手とわかる。つか4階建ての冒険者の宿など記憶の中にもそうそうない。

 大きい両開きの扉を開ければドアチャイムが、カランカランと小気味良い音を立てて出迎えてくれる。

 5~6人用テーブルが凡そ10個、それに店員が2名控えるカウンター席20席。丁度お昼時を少し過ぎたころだと言うのに、テーブルはほぼ満席、ウェイトレスが忙しそうにフロアを巡っている。これは飲食店としても優秀なのかもしれない。



「いらっしゃいませ~。お一人様ですか?」


「ここの店主に用があるんだけど、取り次いでもらえるかな?」


「わかりました。店長、お客さんですよ~!」



 ウェイトレスがカウンター奥に声をかけるも「すまないが登録は3時から再開だと伝えてくれ」とお断りされてしまった。



「すみません、後2時間ほど待ってもらえますでしょうか?」


「あー……じゃあちょっと外で時間潰してまた来ますよ。忙しそうですし」


「ごめんなさい。優先して通せるように伝えておきますから、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」


「カイル・ランツェーベルです。またきます」



 あっちゃー。タイミング悪かったな。一応飯も食っちゃったし、飲み物だけで混雑の時間居座るのも気が引ける。

 ちゃっちゃと登録して情報収集をしたかったのだが……仕方がないので店を出てぶらつくことにする。とりま東門方面へ向けて歩いてみるか。


 ブラブラと東門へ向かいながら店を見れば、冒険者の宿は勿論のこと、冒険者に便が良いように鍛冶屋、魔道具屋、防具屋等が並んでおり、ショーウィンドウにはその店での自慢の一品が飾られている。お、マグマタイト加工のロングソードか。わりと腕の良い職人が揃っていそうだな。武器の威力強化加工であるマグマタイト加工ができる鍛冶職人は、世界観的に数が少なかったはずだ。


 ウィンドウショッピングも悪くはないが、どうせなら他の冒険者の宿も訊いておけばよかったな。別に大手じゃなくても登録だけならよかったんだよなぁ。あ、そこの人に訊いてみよう。



「すみません、この辺に冒険者の宿ってありませんか?」


「ん? それなら“曇天の赤雷亭”って宿が中央の方にあるよ」


「他にはないんですか?」


「んー、どうだったかなぁ。この街の冒険者は大体あそこに所属してるはずだから……あー、確かもう一つあったな。この通りをもう少し進んだところに宝石商の店があるんだけどね。その店を曲がって路地に入った先に確か一件あったよ」


「ありがとうございます。行ってみます」



 住民からも思い出されるのに時間がかかる宿って……とりあえず行ってみるけども。

と言うわけで、通りも中頃まで進み、中央側より少し寂しくなった頃。言われた宝石商の店を曲がり、路地へ入ること30mほど。



「“歌い踊る賑やかな妖精亭”って書いてあるけど……」



 どこが賑やかなんだ? 寂れとるやん。立地の所為か? それにしたって、なぁ。

 規模は”赤雷亭”半分以下。外装も手入れはされているようだけど地味で寂しい。いや、冒険者の宿に派手さはいらないっちゃいらないと思うけど。

 よし! 気になるから覗くだけ覗いてみるか。


 ドアを開ければ鳴るドアチャイム。チリンチリンと涼やかな音が静かな店内を駆け回る。閑古鳥とはまさにこの様相を言うのだろうな。4人掛けのテーブルは4つ。カウンターは10席。淡い光の伝統に合うように置かれたアンティークや花瓶がセンスの良さを感じさせる。ただ人がいないため眠るように店内は静かだ。

 床もテーブルも掃除は行き届いているし、正直第一印象は悪くないんだけどなぁ。



「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんかー?」


「ふぇ? は? はーい!? ただいわぁ~~!?」



 奥で響くどたばたと転んだような倒れる音。テンプレかよ。



「すみません~。お待たせしました~」



 淡い水色の髪を二つに結わえた、メイド服に身を包んだ小柄な少女がカウンター横から顔を出す。見た目完全に小学生。え? この娘が店主だろうか?



「いらっしゃい~ませ~。お一人様~ですか~?」


「ここ、冒険者の宿でいいんだよね?」


「はい~。そうですよ~」


「冒険者登録をお願いしたいんですけど」


「……え?」


「だから冒険者登録をお願いしたいですけど」



 反応が著しく悪い上に疑問で返されたので二度ほど伝えれば、円らな瞳が大きく見開かれ、大急ぎでカウンター奥へと走っていった。



「マスタ~! マスタ~! 大変です~! 冒険者希望の~方がいらっしゃって~ますよ~!」


「そんな声出さなくても聞こえてるわよ! でも赤雷から爪弾きされるような低レベル(低能)でしょ!? そんな金にもならないやつなんて追い返しなさいよ!」


「でもでも~! ミィエルが見る限り~、す~っごい強そうだったんですって~! いいから~、お店に出てくださいよ~!」


「わかったから引きずらないでミィエル! もー、そんな優秀なのがうちなんかに来るわけないじゃない」



 全ての会話が素通しだぞおい。と言うか冒険者を育てない宿ってどうなんだ? 俺の所属してた宿とは真逆だな。


 パタパタとスリッパを鳴らしながら幼女に連れられたのは、こちらも小柄な少女だった。

 ストレートロングの栗色の髪に灰色の瞳、活発そうな容姿は今や気だるげな表情を浮かべている。ツインテ幼女よりも背は高いが150cm届かないぐらいの身長。ラフなシャツとホットパンツが似合いすぎて、田舎で山や森を走り回ってそうなイメージを持たせる少女だ。

 解析(アナライズ)はしていない。ただ直感的に彼女は恐らく腕利きの後衛職――腰に提げる多種多様な魔宝石から、全属性に応じた精霊使い(エレメンタラー)なのは間違いないと判断する。


 幼女に連れられた少女の愛らしい瞳が鋭さを増す。今様々な判定が行われているのは明白だ。別に不快に思うことでもないので、「こちらにどうぞ~」と幼女に促されるままにカウンターに座る。幼女がグラスに〈クリエイト・ウォーター〉で水を入れてくれる。

 少女も見定め終わったのか、カウンター内の椅子に座り、「貴方、見ない顔ね。どこから?」と続ける。



「交易都市ルプト・ハーツェンから」


「……聞いたことないわね。あー、“海外”ね」



 へぇ……さすがは腐っても宿の店主だね。疑問ではなく断定ときたか。都市名からあたりを付けられると言うことは、相応の知識を持っていなければできないことだ。これは想定したよりも情報を入手できるかもしれないぞ、この宿。俺はエンブレムをカウンターに置いて話を続ける。



「お察しの通り、俺は海向こうから来た冒険者です。こちらで仕事を斡旋してもらうためにも、この店で冒険者登録をお願いしたいと思ってます。俺のデータはこの中にある程度入っいるので確認してください」


「……では確認させてもらうわね」



 店主はエンブレムを受け取り、カウンター奥に設置されている端末へ翳す。


 先程から何度も登場しているが、冒険者には必ず所属する冒険者の宿のエンブレムが手渡される。エンブレムはどの冒険者の宿に所属しているかの証明書であり、且つ冒険者ギルドが正式に冒険者として認めた証明書でもある。


エンブレムには特殊な魔法化処理が施されており、冒険者の宿で専用の装置にセットすることで、冒険者の氏名や年齢は勿論、今現在のステータスをも知ることができる。これは他所属の冒険者でも同様に閲覧することが可能だ。故にエンブレムが偽物かどうかは装置に翳せばわかるし、本人の力量もエンブレムに蓄積されたデータを読めば嘘偽りなく知ることが可能、なのだそうだ。


 ぶっちゃけTRPGのLOFではエンブレムなんてフレーバー以外の何物でもなかったのだが、こちらの世界ではそう言うマイナンバーカードみたいな、重要な個人情報内蔵端末らしい。カイルの記憶的にはそうなっている。


 端末を確認するほど目を見開く少女。どうやら余程のことが載っているらしい。

 水を飲みつつ待っていると、隣の席にちょこんと座った幼女が「外人さんなんですか~?」と何やら期待の眼差しを向けられる。



「あぁ、海の向こうの大陸から来たんだ」


「わぁ~! 話には~聞いたことあったんですけど~、本当に別の~大陸ってあるんですね~! あ、ミィエルは~ミィエルって言います~。マスタ~は~、ア~リアって言います~」


「俺はカイルだ。よろしくなミィエル」


「はい~!」



 ミィエルはニコニコと頷きながら両手で握手。握手した手をぶんぶんと上下に振られたのは、人生で初めての経験だ。

 気になったのでミィエルを解析。判定は成功。



名:ミィエル・アクアリア 3歳 種族:精霊 性別:女 Lv8

DEX:25 AGI:32 STR:9 VIT:12 INT:19 MEN:22

LRES:10 RES:11 HP:36/36 MP:30/30 STM:85/100



 Lv8か。随分強いね、この娘。



「ミィエル、君は精霊族なんだね」


「はい~。よくわかりましたね~。普段は~、羽根を隠してますけど~」



 「ほら~」と背中から二対の薄い水色をした半透明な羽根が姿を見せる。背中から直接生えているわけではなく、背中に付随するように現れた紋章から出ており、話に訊くと羽ばたかなくても浮遊することができるらしい。一種の魔法みたいなものなのだろう。うん、「綺麗な羽根を背に、楽し気に中空を舞うメイド服の精霊。控えめに言っても可愛いね!」



「か、可愛いですか~!?」


「おい外人。何うちのミィエルを勝手に口説いてくれちゃってるのよ」



 どうやら本音が声に出てたらしい。頬に手を当てて初々しく照れるミィエルと、エンブレムをカウンターに乱暴に置きながら、射殺すような視線を向けてくる店主――アーリア。本音が出ただけで決して口説こうと思ったわけではない、と弁明しておこう。



「それでどうだったんですか? お眼鏡に適いました?」


「……えぇ、まったくもって問題ないわ。改めまして、あたしはこの“歌い踊る賑やかな妖精亭”を経営してるアーリア・アマツネよ。決して“閑古鳥が歌い踊る静寂の妖精亭”じゃないから、間違えないように。後あんたより長い人生送ってんの。舐めた口は利かないように」


「……カイル・ランツェーベルです」



 自虐しておきながら睨まれるっておかしくない? まぁいいや。しかし予想通り見た目と実年齢が乖離するタイプだったようで。もしやロリババ――いや、話を進めよう。せっかく時間を無駄にせずに済みそうなんだ。



「なら冒険者登録をお願いしたいんですが」


「あー、カイルくん。登録自体は問題ないわ。実力も申し分ない。でも他所属からの再登録をするには正式なランク査定含め、少し時間を頂くことになるわ。その代わり、あんたは実力に応じた最高の冒険者として登録できるわ」


「ん? ランクって何ですか?」


「え? 知らないの?」



 うん、知らない。なにそれ?

 ランクなんて概念LOFにあったかな? 多分実力や実績に応じた冒険者の位なんだろうけど。


 話を聞けば冒険者ランクはE~S、その上のSSと7段階に分かれており、駆け出しはEランクから始め、依頼にの達成率や貢献度などを考慮して所属する宿の店主が冒険者ギルドに進言する形で、ランクを上げていくらしい。EからDへの昇進は店主の推薦があればよいが、DからCへとなると実技試験等も必要になるとか。



「生憎俺はGM(マスター)の良いように使いっぱされる冒険者だったんで。斡旋された仕事をただ受けてこなしただけだから、ランクとか気にしたことなかったんですよ。昇級試験とかもありませんでしたし」


「……そう言うことね。まぁ海外のルールはあたしも知らないけど。多すぎる実績から昇級試験なんて受ける必要がないのもの頷けるわ」


「ちなみにどれぐらい時間がかかります? 冒険者の宿を鞍替えするなんて初めてだからわからないんですけど」


「そうねぇ。あんたの場合は早くても1週間はかかるんじゃないかしらね? 先程も言ったように、あんたの実力と実績は最高ランクに達するもの。海外だから裏は取れないから、査察官が独自に判断するしかないけど。だからこそ最低1週間ね」


「ランクとか一番下で良いので登録できませんか? 早いところこちらで使える身分証明書が欲しいんですよ」



 一週間はかかりすぎだ。正直ランクなんてどうでもいい。必要に感じたら時間があるときに上げとけばいいだろ。だから「新人扱い(ルーキー)でいいから登録してくれ」と告げたら「だめですよ~!」と隣から非難の声が上がった。



「冒険者にとって~、ランクはと~っても大事ですよ~!? 受けられる~、依頼の質も~変わりますし~! 何より~! カイルくんと~、ミィエルが一緒に~依頼を受けられないじゃ~ないですか~!」


「最後が本音だな……悪いけど、俺にとっては身分証明書の入手が一番大事なんだ」


「言っておくけど、最低ランクからの登録をしたら1からランクを上げてかなくちゃならないんだけど、それでも構わないのね?」


「構いませんよ」


「構います~!!」



 むーっとむくれるミィエルは可愛らしいが、かと言って折れてやるわけにもいかない。



「俺は身元不明の旅人でいるより、さっさとこの大陸の冒険者であると言う証明が欲しいんです。もしできないと言うならば、他の冒険者の宿で登録してもらいますよ」


「それはだめです~! せ~っかくミィエルと~冒険に出られるカイルくんは~、他の宿なんてダメ~なんです~!」



 えー……懐いてくれるのは悪い気はしないが、正直ちょっと鬱陶しい。はぁ、仕方ない。“曇天の赤雷亭”に戻るか。



「言っとくけどカイルくん。たとえ“赤雷”に行ってもあんたを新人扱い(ルーキー)で登録なんてしてくれないわよ」


「……ならエンブレムの情報を渡さず騙しきるしかないか」


「曲がりなりにもあいつも元Aランク冒険者よ。はたして騙せるかしらねぇ?」



 顎に指を添えて「ふふふふふ」と黒い笑みを浮かべるアーリア。こいつ、俺の情報を他にもリークする気満々ってところか。



「あたしとしてもSランクオーバーの冒険者を早々と手放す気はないわけよ」


「Sランク~……ってそれじゃ~、ミィエルより高いじゃないですか~!?」


「どちらにしろ同じ依頼は受けられねぇ―じゃねーか」


「上位の者が下位の者に付き添うのは問題ないわよ?」


「なら俺が最低(E)ランクでもいいんじゃないですか?」


「Eランクはチュートリアルみたいなものだから、Dに上がらないとできないのよ」


「んじゃすぐDに上がって依頼を一緒にこなしてやるよミィエル。それでいいだろ?」


「む~っ……まぁ、わかりました~」



 終始不服そうなミィエルだったが一応の納得を見せた。つーか、なんで俺今日あった赤の他人にここまで気を使わなければならないんだ? はぁ、と思わずため息が漏れる。



「ま、あたしとしてもあんたに逃げられるよりは、新人扱い(ルーキー)で登録させた方が得よね。でもなんでそんなに急ぐのよ?」


「あー……多少贔屓にしている神様(やつ)の木っ端がいい感じに暴れそうなもんで。ちょーっと介入しようかな、と」


「ふーん……」


「あ、ついでに盗賊ギルドへの紹介もお願いします。いくつか買いたい情報があるんで」


「……あんた、いったい何に首を突っ込もうとしてんのよ?」



 質問とは対照的な黒い笑みをより深めるアーリア。んー、正直確定じゃないから情報を集めたかったんだが……



「ほら、お姉さんに話してみなさい。もしかしたら思ったより力になれるかもしれないわよ?」



 あぁ、たぶんこの人はこう言う話が大好物なのかもしれない。表情よりも瞳が物語っている。

 俺は数秒の間をおいて一息を入れると、「まだ確証は得られてないんですがね」と前置きしてアーリアに語ることにした。


なるべく読みやすくなるように色々試してみようと思います。

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