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レベルの概念

初めての狩りから数ヶ月して俺は異変に気づいた。


何故か。いつの間にか俺はこの群れの長のように扱われていた。


レベルを出来るだけ早く上げるために毎日狩りに出て、食べきれない分を家族に分け与えていたからだろうか。


ゴブリンが狩れる量と言うのは正直少ない。


ゴブリンは普通に弱い部類だし、馬鹿だからだ。


それでも人型だけあって服や武器を作れるなどある程度の器用さがある。


そこを俺は活かして罠作りや武器作り、家作りなどにも着手した。


武器なんて使ったことないのだから試行錯誤しながら色々と作って、余った試作品などを成ゴブリンにあげてたりもした。


ただ防具は使っていない。


単純に作り方がわからない。


俺はあれから角兎以外にも火狐、風鼬ななんかも狩っている。


火狐は見た目は一般的な狐と変わらないが、こいつはなんと火を扱う。


森で火なんて使えば一つ間違えば大惨事だ。

一体どうなっているのかと疑問に思い、火狐を一週間ほど観察していて分かったのだが、なんと火狐の出す火は燃やしたいもの以外は燃やさないという特性を持っていることが分かった。


観察している間に何度か森に火の玉が飛んでいったのだが、木に当たっても特に何も起きず消滅した。


魔法の不思議ってやつだ。


風鼬は風魔法らしきものを扱う鼬だ。

こいつはすばしっこい代わりに肉体の強度はそんなに強くないのだが、それを風魔法のようなもので補って生きている。


ようなものといってもほぼ確実に使っているのだが、風魔法は目に見えない為、風魔法でない可能性も無いではない。


これも中々不思議なもので、おそらく風魔法も任意のものしか干渉できないようになっている。

風鼬は風魔法を使う時、特徴的に尻尾を振るので分かるのだが、それで俺はいつも避けてしまうため食らったことがない。


俺がそれを認識したのは風鼬の狩りを観察している時だ。


安全に狩るのに観察は欠かせない。


何故なら見た目と強さは比例しないからだ。


この世界には魔法がある。


魔法がどんなものなのか俺にはわからないが、風鼬のようにただの動物でも魔法を使うのだ。


用心するに越したことはない。


そう、実は風鼬は魔物ではない。火狐も。


たくさん狩っているが、解体しても魔石が出てこない。


だからこいつらは魔物ではない。


俺が今のところ知っているのは土竜(もぐら)だけだ。


普通に土竜と言っているがその体は地球の土竜の比じゃない。


地球の熊よりも大きいと思う。


まさに土の竜といった佇まいだ。


土竜は普段土の中にいる為、ほとんど観察する事ができない。


なのでまだ情報も力も足りず狩ることができないが、そのうち狩れるようになるだろうと俺は考えている。


俺の体は成熟してもまだ成長を続けている。


俺は今、他のゴブリンよりも一回り大きい。


それはおそらくレベルが関係している。


成ゴブリンたちは基本角兎を狩るか木の実や虫を集めている為、レベルが上がりにくいのだろう。


俺はこの数ヶ月ほぼ毎日狩りを続けている。


そりゃぁレベルも上がるだろう。


ちなみに俺はまだ人間を見ていない。


今でも一般人ぐらいなら不意打ちで仕留められると思うが、まだまだ一対一では厳しい。


冒険者ような奴ら相手では話にならない。


ゴブリンの本質は集団での狩りだ。


味方の犠牲を厭わず、ひたすらに相手の嫌がる事をする。


それがゴブリンだ。


一体で狩りをする奴なんて俺くらいのものだ。


だが、俺が一人で狩りをするのにも理由がある。


単純に経験値を独り占めしたいからだ。


俺は確信している。


経験値は集団で狩れば減量する。


一度狩り方を教える為に一週間ほど一緒に狩りをしたのだが、その時だけ体の成長が止まっていた。


俺は一週間に一度身体の成長を確認している。


だから気づいて以来、一人で狩りをするようにしている。


一人で狩りをしているからこそ俺は他のゴブリンを超えて成長できている。


普通のゴブリンのニ倍ほど、つまり2メートルくらいなればおそらく土竜ともいい勝負ができるようになる。


成長しているのは身長だけではない、身体能力を飛躍的に上がっている。


今は1.5メートルほどで人間の子供ほどの身長しかないが、身体能力は人間の子供より遥かに高い。


推測だが、100メートル走なら10秒近くで走り切れる自信がある。


おそらくだが、俺は身体強化魔法を扱っている。


感覚的なものなのだが、魔力的な何か、体に秘められているものを身体の一部を集める事であり得ない力を出す事ができる。


手に集めれば、木を握りつぶせ、足に集めれば、木を薙ぎ倒し、体全体を一時的に強化する事もでき、その状態で走ることでおそらく100メートル10秒台も可能だ。


◆◇◆


そして、その時がやってきた。


ついに、人間とのご対面だ。


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