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家族

今世の俺の家族。


それはもちろんゴブリンたちだ。


俺は今、洞窟の洞穴で暮らしている。


ここにいるゴブリンは成体が10体ほどにまだ戦えないゴブリンが20体ほどいる。


俺が生まれてから成体が2体、ガキが5体死んでいる。


成体は狩りで死に、ガキは餓死した。


ゴブリンは子供に餌など用意しない。


子供は自分で残飯を食らうだけだ。


当然生まれたばかりのゴブリンは初め飢える。


しかし、本能から来るものなのか、餌を欲して自ら動き始める。


ゴブリンの体は3日に一度にでもお腹いっぱい食えれば問題はない。


しかし俺は毎日3食お腹いっぱいに食っては寝ていた。


そう、ゴブリンが5匹餓死したのはほとんど俺のせいだ。


だが、だからといって俺が食べるのを止める成体はいない。


何故なら、俺が成体の食事を奪っていない事は勿論のこと。


成体たちからすれば食にありつけない雑魚より、たくさん食って俺が強くなった方が都合がいいからだろう。


ゴブリンは基本的に馬鹿だが、自分が生きる事に対しては最善策を選ぶ。


俺がゴブリンを好きな理由の一つだ。


ゴブリンは自らの為だけに生きる。


生きる為だけに生きるのだ。


どこぞの人間よりよほど健全な生物だろう。


本来生物とはそう言うものなのだから。


◆◇◆


さて、これからする事は至極単純だ。


レベルを上げる。


レベルの恩恵は外敵を倒す事で得られるはずだ。


ただ、実はこれは確証のあることじゃない。


俺はこの世界の名前と、ゴブリンがいる世界としか知らない。


だが、ゴブリンがいてレベルの概念がないなど100%あり得ない。


根拠なんて必要ない。


ステータスボードなんて必要ない。


俺は敵を倒して強くなる。それだけだ。


◆◇◆


洞穴から出て、森を歩く事数分、俺は小さな角を持つうさぎを見つけた。


取り敢えず角兎と呼ぶ事にする。


おそらくこいつは魔物ではない。


ただの小動物だ。


こいつを倒しても、もしかしたらレベルは上がらないかもしれないが、肩慣らしにはちょうど良いだろう。


そう考え、どうやって仕留めようか考えたところで気づいた。


武器がなかった。


素手では流石に厳しい。


俺は地面に落ちた大きめの石を拾い洞穴に戻って別の石を使って研ごうと思った。


が、失敗した。石はあっさり砕けてしまった。


そこらの石では武器にするには弱いようだ。


だが洞穴の奥にある石ならあるいはと思い探してみたところ。


何かしらの金属らしき塊を見つけることができた。


それを石で研いでみたところ比較的丈夫そうなクナイのような何かが出来た。


さて、それをもって今度こそと思い森に出ると外は暗くなり始めていた。


この世界の1日はもしかしたら地球より短いのかも知れない。


が、まだ夜の方が長いという可能性もある為、確証には至らない。


それはさておき、実はゴブリンは夜目が効く。


ただそれは当たり前な事で、洞穴には光源が存在しないのだから。


夜目が効かなきゃ洞穴でなんて暮らせるはずもない。


とにかくこの夜目のお陰でゴブリンは夜にも狩りができる。


ただ、普通のゴブリンは夜に狩りをしない。


何故なら夜には魔物が出るから。


ゴブリンがそもそも魔物じゃないかって?


否、ゴブリンは魔物ではない。低位の亜人である。


これは転生前にお爺さんにちゃんと確認した。


ただおそらくこの世界では魔物も亜人も大して変わらない。


魔物の証である魔石をゴブリンは持たないが、そんなの関係なしに害獣認定されている為、魔物と同じ扱いらしい。


ゴブリンへの人間の好感度は地球で言うゴキブリと同じ。


つまり、相性最悪だ。もしかしたらゴブリンを研究する変人もいるかもしれないが、それは別に味方というわけでもない。


ゴブリンを実験台にクレイジーな事をしているマッドサイエンティストの類いだろう。


さて、そんな思考をしている間に角兎を狩ることができた。


不意打ちしたら簡単に仕留められた。


ちなみにゴブリンは火を使わない。


獲物を食うときは生である。


どうせ全部一人では食えないのだからガキどもに分けてやろうかね。





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