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第一話「俺の下僕になると言っていただろ」

「さぁルゼリア、約束通りにしてもらおうか」


 ルゼリアは憤怒していた。己の不甲斐なさに、己の無力さに。

 慢心を抱いていたわけではない。ルゼリアには今度こそという、絶対の自信があった。

 ルゼリア・フォン・クロウリアは優秀な魔術師であると。

 歴史に名を残す数々の魔術師を輩出してきた名門貴族、クロウリア侯爵家の娘であるという自負があったのだ。

 だからこそ、今日。この日のために血の滲むような努力をしてきたというのに……。


【第二位:ルゼリア・フォン・クロウリア】


 校内掲示板に張り出された進級試験の結果には残酷な現実が書かれていた。

 第二位。名前の上に書かれた数字は紛れもなく、二番目だ。

 ありえない。こんなことがあっていいはずがない。

 だってルゼリアはクロウリア家の令嬢なのだから。

 学園の卒業生である兄たちは常に成績トップだった。

 兄たちがそうであるように自分もまたそうでなくてはいけないはずだ

 さらに言えば今回こそは、絶対に一位にならなければならない理由があった。


「次の進級試験、一位になれなかったら……俺の下僕(しもべ)になると言っていただろ」


 見間違いを否定するかのように男が言う。

 獅子を思わせる金髪に溢れる自信を宿した赤い瞳。

 同じ制服だというのに、周囲の生徒と一線を画す圧倒的な存在感。


【第一位:マティウス・フォン・レイナール】


 クロウリア侯爵家と同じく、魔術師の家系として有名なレイナール侯爵家。

 レイナール家においてまだ学生の身分でありながらも才能の頭角を現し始め、歴代最高になるのではないかと言われるほどの魔術師の天才児。

 それがルゼリアの目の前にも、成績の上にも立つマティウスという男だった。

 ――そしてルゼリアがこれから傅く相手である。


『次の進級試験、もし私が一位になれなかったら……貴方の下僕になってやるわ!』


 三ヶ月前のあの日。

 同じ場所で。

 テスト結果の順位を見たルゼリアがマティウスに放った言葉であった。


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