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第10話【社長はいつ死んだ?】

「な、何を言っているのよ。まるで私が犯人だ、なんて言い草じゃない!

 そもそもあなた誰なの?」


「ああ。あいにく名乗るのは好きじゃないんだ。特に犯罪など犯す愚かな輩にはな」


 先生は相手の様子など気にしないかのように話を続けました。

 右手は髪で遊んでいます。


「社長の死因だが、凍死だ。つまり寒いところにいたせいで体温が下がりすぎて死んだんだ。

 これは覆しようのない事実だ」


「そうよ! だから私なわけないじゃない!

 その時は台北に居たんだから。警察だってそれを認めているわ」


 先生の話に絵梨花さんは鼻を鳴らします。

 自分のアリバイが崩せる訳ないと思っているのでしょう。


 その通りで、毛利社長の死亡時刻は僕のメモの2ページ目に、絵梨花さんの旅行の日程は4ページ目にきちんと書いてあります。


「台北に居たからなんだ? お前が社長を殺したのは旅行の前だ。旅行が何が関係あるんだ」


「な、何を言って!?」


「いいか。まず社長は夕飯を食べた後、常飲の睡眠薬を飲んでいた。

 その状態で出発前のトラックの荷台なんかに、誰にもバレないように乗り込むか?

 そんな事はしない。じゃあ誰かが寝ている社長を荷台に運んだんだ」


「それは笹山に決まっているじゃない!

 あいつは毛利と口論してたのよ? 社員みんなが知っているわ。

 あいつが毛利を殺したのよ!」


 確かに先生の言う通り、事故は考えにくいんですよね。

 そうなると殺人ですが、絵梨花さんの言う通り笹山さんがすごく怪しいです。


「おいおい。お前はそこの優男だけじゃなく、笹山とも不倫してたのか?

 それなら話は別だが。笹山がどうやって社長が寝ている寝室に入って荷台まで運ぶんだ?

 鍵もないし、そもそもその時お前は何をしてたんだ?

 答えれないだろう?

 事実じゃないことを突っ込まれると途中で口が聞けなくなるんだ。今のお前みたいにな」


「でも先生。結局どうやって絵梨花さんは社長を殺したんです?」


「もちろん冷車(れいしゃ)でだ。他にないだろう。ただし、設定は冷凍でだ」


「!!」


 絵梨花さんが驚きの表情を見せました。

 先生の指摘はどうやら図星の様です。


 しかし、僕にはいまいち分かりません。

 どういう事でしょうか?


冷車(れいしゃ)って毛利社長が見つかった冷蔵車でのことですよね? 冷凍とは?」


「いいか? 笹山も車のことは冷蔵車とは言わず《れいしゃ》と言っていたろう。

 つまりあの車は冷蔵・冷凍車、どっちも出来るんだ」


 先生はそのまま続けます。

 絵梨花さんは顔面蒼白のままで先生を見つめていました。


「24日の夜、社長が睡眠薬を飲んで寝てから、お前は社長を箱に入れ、荷台に乗せ冷凍の電源を入れた。

 怪しまれるから車は事前に家の前にでも動かしていたんだろう。適当な理由をつけてな」


「すでに24日の夜もしくは25日の朝には毛利社長は亡くなっていたんですね」


「そうだ。お前は出かける前にお前は車の電源を切り、何食わぬ顔で車を元に戻した。

 ガソリンが減っていたのはそのせいだ。笹山は危うく高速道路の真ん中で立ち往生するところだったよ」

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新作ハイファン書き始めましたヾ(●´∇`●)ノ

魔法理論を極めし無能者〜魔力ゼロだが死んでも魔法の研究を続けた俺が、貴族が通う魔導学園の劣等生に転生したので、今度こそ魔法を極めます

魔力ゼロの天才が新しい身体を手に入れ、無双していく学園ものです! 良かったらこちらもよろしくお願いします!
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