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変態超能力をプレゼントDX  作者: ヒィッツカラルド
48/61

48・ダブルの解説(完結編)

模倣女体化能力を悪用してのデータ収集。


女性に化けて女湯に侵入。


堂々と女性たちの裸体を観賞したいほうだい。


お坊さんの悪協を知った龍一が、プリプリと怒って見せる。


強い口調で、グルグル巻きに拘束されているお坊さんを非難した。


「覗きなんて、なんて卑劣でハレンチな。女性の裸体をデータ化しようなんて、とんでもない変態趣味に目覚めたものですね。この生臭坊主は!」


「それは、違うよ龍一君。誤解だ」


自然な笑みを作る千田が否定した。


お坊さんの真の新たな趣味を述べる。


「この坊さんの新しい趣味は、バナナをお尻に挟んで尻力だけで皮を剥く芸だ。それが彼の変態趣味だよ」


「はぁ~……、なんですそれ……」


声を出しながら呆れてしまう龍一。


一気に怒りが冷めて脱力する。


「バナナの皮を尻で剥くって……。無意味すぎる変態趣味ですね……」


皮を剥いたバナナは食べるのだろうか?


この質問は、別の機会にしよう。


今、大切なのは覗きの罪だ。


女湯に侵入する行為が変態趣味から来る欲求じゃないのなら弁解のよちはある。


「じゃあ、データ収集なんて口実じゃないですか。犯罪です。直ぐに罰しましょう。この胸の嫉妬が温かいうちに!」


「よし、燃やそうか!」


「はい、こんがりと燃やしてください、花巻さん!」


「こんがりなんて生温いぜ。真っ黒に焦がしてやる。消し炭の刑だ!」


「待ちたまえ、花巻君」


冷静な三日月堂が静止する。何か考えがあるようだ。


そういえば花巻がパイロキネシスを使ったところを龍一は見たことがない。


この機にパイロキネシスでお坊さんが丸焦げになるところを見てみたかった。


三日月堂がお坊さんを庇うように話す。


「彼がデータ収集で女湯に侵入したのは、満更嘘でもないんだよ」


「と、いいますと?」


「彼の女体化は摸倣が基本だ」


「他の女性の裸を見て真似るんですよね?」


「そうだ。だが、真似たい人物そのままにコピーできない。特に裸まで見たことがない人物にはそっくりになれないらしいんだ」


「そっくりに真似られないのですか?」


「顔も良く見れば僅かに違う。似てはいるが雰囲気が異なる。体型も同様、動きまでは完璧に真似できない」


表情の微妙な差。


動き、姿勢、癖、そこまで自動で真似してくれないのだろう。


「それに顔は近い物に真似できても、体型を服の上から見た程度だと、別人の体格で摸倣するしかないらしいんだ」


「顔と体を、別々の人のを使うって、ことですか?」


「正しく述べれば、彼の摸倣女体化は、骨格と脂肪量をコントロールして変身するんだ能力なんだ」


「骨と脂肪の変化……」


「だから筋力は殆ど変わらない。カヲル君の骨格肉体変化が、骨格と筋力を増加させるが、脂肪分は増やせないようにね」


前にカヲルが自分の控えめな胸を揉みながら言っていたことを思い出す。


「僕の能力は、筋肉は増やせるけど、贅肉とか脂肪は増やせないんですよ。だからオッパイを脂肪で大きくできなくて……。とても残念です」


カヲルはそこそこ立派な貧乳だ。チーパイである。


それを骨格肉体変化で、女性の姿のままバストアップできないのだ。


お坊さんが女体化ならば、カヲルは男体化なのかもしれない。


それとカヲルはこんなことも言っていた。


「もしオッパイが大きく出来たら、僕の巨乳で龍~先輩の男棍を暖かくも激しく包んであげたのに……。とても残念です」


本当に残念そうな顔をしていた。


龍一もやや残念がっていた。


三日月堂の話に進行を戻そう。


「だがね、山国君の摸倣女体化は、パーツパーツで真似したり微妙な部分変更もできるらしい。カスタムマイズする感じかな。目と鼻はAさん。口とボディーラインはBさん。バストだけはCさんって具合にね」


「それは凄い……」


静かに驚いてから龍一が周りの大人たちに訊いた。


「皆さんは、お坊さんが女体化したところを見たんですか?」


三日月堂と朝富士は見たと頷くが、千田と花巻は見ていないと言う。


ちなみに銭湯帰りのお坊さんを捕まえてここまで連れて来たのは、三日月堂と朝富士の二人である。


「見てみてえな、女体化するところ」


「ですよね……」


花巻の言葉に千田が相槌を入れる。


「おい、ハゲ野朗。ちょっと女体化してみろ!」


威嚇のように花巻が脅すと、怯えながら頷いたお坊さんの顔が変貌し始める。


「おおっ!」


ものの数秒だった。


一瞬に近い間で、お坊さんの顔が綺麗な女性に変わる。


つるつるだった頭からは長い髪が生え伸びた。


奇怪な光景にも感じられたが驚きのほうが上回った。


初見の花巻と千田が声を上げて驚いていた。龍一もである。


本当に凄い光景である。


「この顔、テレビで……」


「俺もCMで見たことあるぞ!」


「確かアイドルグループの……」


お坊さんが変身した女性の姿は、最近テレビなどで売れているアイドルグループの一人だった。


他のメンバーはあまり知らないが、この子だけは良く覚えていた。


リーダーでセンターである。


グループの中でも一番可愛いと思う。


将来グループが解散したりしても独りだけ芸能界に生き残りそうなタイプだ。


「凄い……」


初めて間近で見るアイドルの顔。それは可愛かった。


そして震えている。


お坊さんが──、いいや、アイドルが怯えて震えていた。


可憐な顔にある唇がガムテープで塞がれているのが、とてつもなく卑猥に見えた。


「体も女になってるのか?」


尖った自分の顎を撫でる花巻が問いながら立ち上がる。


「ちょっとガムテープを外してやるからまってろや」


お坊さんの体に巻きつけられていたガムテープを荒々しい素振りで花巻が剥ぎ取って行く。


「逃げたら燃やすからな。逃げるなよ」


口と両足首を括るガムテープは外されなかった。腕だけ自由になる。


「脱げや!」


花巻が脅すような声色で言った。


目の前にいるのは、怯えたアイドル美少女だ。


そのアイドル美少女に脱げと一言で脅してみせる花巻は、まるで強姦魔に見えた。


だが、眼前のアイドル美少女は、ただのお坊さんだ。


ハゲで、痩せてて、バナナの皮を尻で剥く変態の僧侶だ。


騙されてはいけない。


慈悲を与えてはいけないのだ。


「脱げよ。本当に女の体かチェックするだけだから。触ったりしないから。マジで、なーにーもしねぇよ。大丈夫だから、痛いことしないからさ」


まるで女の子をラブホテルに連れ込もうと必死になっているスケベな男性のような口調であった。


なんだかとても低俗で、説得力の欠片もなかった。


「じれって~。おい、龍一、お前が脱がせてやれ!」


「ぇぇぇぇええええええええ!」


何故に矛先がこちらに向くかと仰天する龍一。


とんでもない指示である。


花巻は真面目な青少年にアイドル美少女が着た僧衣を無理矢理にも脱がせというのだ。


相手が男と分かっていても、卑猥なシュチエーションに躊躇いを感じる。


「で、でも……」


「いいから、とっとと僧衣を脱がしやがれよ」


「花巻さん、なんで僕が!」


龍一は躊躇した。当然であろう。


「俺はいつでも炎を出せるようにしてないといけないから無理なんだよ。だからお前が脱がせや!」


「僕は嫌ですよ。千田さんやってくださいよ!」


「僕は、撮影があるから……。無理かな~」


そう言う千田は、いつの間にかハンディーカムを構えていた。


勝手に撮影している。


流石に、このような行為を三日月堂や朝富士には頼めない。


龍一は諦めたように肩を落とす。


そして、美少女アイドルに化けているお坊さんの前に立った。


「はぁ……。すみません。脱がしますね……」


前もって謝罪したのちに龍一が僧衣に手を伸ばし脱がして行く。


なんとも複雑な感覚だった。


目の前にいる美少女アイドルの衣類を脱がしているのか、男性坊主の僧衣を脱がしているのかどっちか分からなくなっていた。


スルスルと落ちて行く僧衣の枚数。


最後の僧衣を剥ぎ取ると、美少女アイドルのお坊さんはトランクス一枚になっていた。


「お~、本当に女の体だわ~」


感心する花巻。


龍一の前には美少女アイドルの裸体が広がっていた。


やや小ぶりだが魅力的な胸が眼前にある。


初めて見る女性の生裸にドキドキしてしまう。


彼女はガムテープで口を塞がれ震えていた。


顔が真っ赤だ。


フリーになっている両手で胸の両膨らみを隠そうともしない。


「こ、これ……は……」


やばい!


鼻血が出そう!


必死に耐える龍一。


脈打つ血管を静めようとクールに振る舞う。


摸倣の偽物だと分かっていても若き少年には刺激が強すぎる。


股間がテントを張りそうだ。


パイプ椅子に大股を開いて座っていた朝富士が言う。


「もしも本物の女なら、こんな人前で裸体を見せているのだ、なんとも破廉恥な女だわな」


下半身丸出しのおっさんが言える説教ではない。


カメラを向ける千田が美少女アイドルに化けたお坊さんに問う。


「ところで脂肪を増やせるのですよね。是非一度見せてください。大きくなるところを――」


どこの脂肪量を増やせと述べているかは、言わずとも知れたところだろう。


ウエストでもヒップでもない。


バストだ。オッパイだ。


千田はテレビ取材班に同行しているベテランカメラマンのような見事な腕前で、偽アイドル美少女の胸をアップで捉えていた。


無言のまま胸の脂肪分を増加させていくお坊さん。


まるで空気を注入していく風船のように膨らんでいった。


はち切れそうなサイズになる。


Gサイズは有りそうだ。


「「おおー」」


声を張り上げるは龍一と千田。


龍一が興奮して声を大きくするのは、女体への免疫が経験的に低いからだろうが、千田が興奮して大声を上げたのは巨乳好きからくる歓喜だろう。


この人は絶対に巨乳好きだ。


オッパイ星人だろう。


間違いない。


「それにしても……凄いな……」


お坊さんの胸を凝視する龍一。


童顔アイドルのフェイスに似使わない豊満な女性シンボルの山脈。


それは双子のエベレスト。


否。


一卵性双生児のスイカだ。


その二つの山だか、果実だかが、龍一の眼前で揺れている。


たぷんたぷんと軟らかく揺れている。


驚愕の景色であった。


大自然の偉大さを目の当たりにして、自分の小ささを自覚した。


ちょっとでいいから触ってみたい……。


龍一がそんなことを考えていると花巻が命令してくる。


「おい、龍一。本物かどうか、もんで確認しろ!」


「えぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!」


願っていた指令にわざとらしく驚いて見せる龍一が、すぐさま偽美少女アイドルの前に移動した。


そして大きすぎる二つの膨らみを凝視する。


「うぐっ……」


喉を鳴らしながら唾を飲む龍一。


考えるは煩悩そのままにオッパイのこと。


しかし、これは偽物のオッパイた。


男のオッパイだ。


確かに感触も偽物なのか確かめたいが、龍一は本物をもんだことがない。


確かめるも何も、判定する材料を持ち合わせていないことに気付く。


「僕、本物を触ったことがありません。見たこともありません!」


ホカンとする花巻。


「え、お前、まだ月美ちゃんとやってないの?」


下品な言い方に龍一は、首を左右に高速で振って否定した。


「ありませんよ!」


「カヲルともか?」


「そっちは未来的にも絶対にありません!」


「うわ~……。へたれ~……。本命から浮気相手まで持ち合わせている生意気な餓鬼の台詞とは思えねぇ~な」


「まあ、いいじゃないか、花巻君」


三日月堂が微笑みながら花巻を宥める。


「じゃあ、いいきかいじゃ~ね~か~、龍一~。その巨乳、ちょっともんでみろよ~。気持ち良いかもよ~」


花巻がいやらしい顔で唆す。


「で、でも……」


「相手は男だ。もんでも摘まんでも関係ね~よ。減りやしねぇ~し、セクハラにもならねぇ~よ」


「そ、そうですか……」


もう一度、お坊さんの顔を見る龍一。


アイドル美少女に変身したお坊さんは諦めている。


最初っから完全に諦めている。


もまれてしまうことに諦めている。


もまれることに抵抗を見せない。


口をガムテープで塞がれ、鼻だけで荒い呼吸をするばかりだ。


アイドル美少女顔だけに、それが逆に龍一の扇情を誘う。


「じゃあ、ちょっとだけ……」


そう言い龍一の両手が上がる。


両手で両オッパイを鷲掴みにするつもりらしい。


狙いを定めた先に両手がゆっくりと進む。


「ハァハァ……」


粗くなる龍一の呼吸。


「フゥフゥ……」


粗くなるお坊さんの鼻息。


迫る両掌。


両手の中指が乳首の上を通過した。


その時、右手の指先が僅かだが乳首の先端にかすった。


「ウッ!」


ビクンと肩を跳ねさせ驚くお坊さん。


その動きに龍一も驚いた。


手を引いてしまう。


距離を置く両手の前で巨乳がプルルンと揺れた。


瑞々しい弾力が見て取れる。


お坊さんの瞳が涙ぐんでいた。


ハの字になった眉毛が卑猥で悩ましい。


「すみません……」


謝ってから両手の侵略を再開させる龍一。


進む両手。


乳首が龍一の掌の陰に隠れる。


「ゴクン……」


生唾を飲み込む音のなか、未知の体験が迫る。


あと数センチで接触だ。


よし、一気に行くぞ。


勇気のままに!


そう心で叫んだ龍一が、勇気を奮い立たせて一気に行こうとした刹那だった。


バタン! と、会議室の扉が勢い良く開いた。


「こんにちは! 皆さん、いますか~!?」


元気良く室内に飛び込んできたのは、本日別行動を取っていた月美である。


「へぇ?」


「にょ……?」


全員の動きが止まる。


室内の時が止まった。


止まった時間の中で龍一の体温が低下して行く。


その正反対に、月美の体温が上昇して行く。


それぞれが怒りと恐怖を顔に表す。


「何事……、龍~ちゃん……」


扉を勢い良く開けた姿で硬直する月美の前には、口をガムテープで塞がれた美少女の巨乳を揉みまくろうとしている龍一の姿があったのだ。


その背景にはビデオカメラを回す千田と、下半身を露出しながら大股開きで椅子に座る朝富士の姿があった。


まさに混沌の空間。


カオスゾーンだ。


月美には、男たちが寄ってたかって一人の女の子に悪戯しようとしている光景に見えた。


犯罪現場だ。


現行犯だ。


引きつった顔で問う月美。


「AVの……、撮影中……?」


「違います……。月美さん……」


答えた龍一にも、この程度の言い訳が通じないことは予想できていた。


怒涛の展開が襲い掛かることを覚悟する。


「も……」


月美が俯きながら拳を握る。


俯くと髪で顔が隠れた。


「もん……」


月美の背後で炎が燃え上がっていた。


殺気の炎だ。


「問答無用じゃぁぁーーーーあ!!」


猛る月美の顔は怖いほどの劇画タッチ。


背景では赤い炎がメラメラと燃え上っていた。


「ひぃぃいいいいい!」


悲鳴を上げながら硬直する龍一には逃げるという選択肢が思い浮かばなかった。


天罰を覚悟する。


「でぇぁぁあああ!!」


ジャンプしてからの打ち下ろしパンチが飛んで来る。


否。


落ちて来るその拳が螺旋を描いていた。


月美のジャンピング・コークスクリューストレートパンチ。


名付けてミラクル月美ちゃんのメテオブロー。


「ひーかーりーにー、なーれーぇーーーーーー!!!!」


怒りの鉄拳は、龍一の右頬にメリ込んだ。


「ふごぉっ!!」


「天誅ーーーーー!!!」


全力で振り切られる月美の拳撃。


龍一の視界が真っ白に染まり、顎の関節と延髄の辺りでペキッと鈍い音がした。


脳内に激痛信号が暴れるように走り回り、仰け反った姿勢のせいで背骨が軋む。


そこで龍一の記憶が途絶えた。


転倒する前にだ――。




龍一が気絶から目を覚ますのは、一時間後になる。





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