独白
「アリヤさーん!」
健気な声が響く
僕はその声に振り返り、笑顔を向けた
「やあ、イム」
今日も元気そうでなによりだ、そう呟こうとした時、彼女の顔が黒く染まり
「死んでください、上原先輩」
僕は、嫌な夢を見た
上原和人
僕であった者の名前だ
和人は、この世界に来て多くを体験した
死んだのだ、そこで一度踏ん切りを付け、この世界に連れてこられた
ここでの彼の名前はアリヤだった
一度だけ死んだ彼は、誰かを守るために生き続けた
彼はイムという、ファミリーネームも知らない貴族の子を救うために命を捨てた
はずだった
彼は今、腐った肉を喰らい、白く染まった骨をしゃぶり、そして黒く染まった血を啜る
腐死者とも骨死者とも吸血鬼とも見れない、その全てを包容する上位互換生物、名前なき不死者として、暗い洞窟の中で汚く、汚れて、そして、気高く生きていた
僕の肌はかつての小麦色から、骨のように白く染まり、髪は茶色から黒色に、そして目に至っては血のように赤く染まっていた
僕の居場所は、この真っ暗な洞窟の最深部
死者の森と呼ばれる、この世界では大したことのないダンジョンのはずだった
この洞窟の特徴は、奥に行けば行くほど強さが顕著になる
本来不死者は光に当たれないのだが、この洞窟は最深部前には聖なる光を生み出す鉱石が埋まっている
この光に当たると不死者は灰になり消えてしまう
僕も耐えれないわけではないのだが、どうしてもあの体の芯から焦げ付く様な、溶けるような感覚はなれない
あの鉱石を取りに来るものを幻惑で誘い、眷属にして殺し合わせている
一番強いものを僕の『奴隷』にする
そしたら、僕はこの世界を破壊する
理不尽な死に方は、もう嫌だから、自分で暴れて、勝手に逝くさ