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休日冒険者  作者: 周防凪
1/1

ある冒険者の独白

 俺はいわゆる転生者ってやつだ。死因?そんなの知っても仕方ないだろう?

 まぁとにかく転生した、しかもネット小説なんかのネタになるファンタジーな異世界に転生だ。更に更に自分がはまってたゲームの世界にそっくりだった(笑)

 ここまで王道なら俺自身もかなりのチートだったり貴族の生まれだったり勇者とか凄い魔法使いだったりだと思うだろ?当然そう思うよな?


 そんな俺は道具屋の親父だったりするんだよ…(苦笑)

 まぁとは言ってもそこは異世界、扱ってる道具は魔法的な道具、魔道具だ。わかりやすい例えとしては、動力として乾電池の代わりに魔石って魔力がある石が使われてたりする。  この便利な魔石は魔獣の体内から取れるから、魔獣の多い迷宮を抱える事が国のステータスになっている。国の産業の要である迷宮都市で、そんな道具を扱ってる魔道具屋の親父が俺だ。


 転生した先の両親は父親が平原の民で、母親が森林の民だった。

 予想は付くとは思うけど一応説明、平原の民はいわゆる普通の人間みたいな人達。

 森林の民はよくあるエルフみたいな感じだ。細部は違うけど…成人するまで性別がないとか。俺はハーフだから決まってたけど。

 他には見た目獣人系中身ドワーフ系の山岳の民は街で見かける、もっと他の種族もいるらしいが少数派過ぎて見かけない。

 平原の民の親父の見た目は中年のおっさんで、森林の民の母親は美形の二十代って感じだったから犯罪!?って思ったが結構な年月子供が出来なかったらしい。何が言いたいかって言うと、俺は母親似って事だ(勝利の微笑み)


 この世界がゲームと同じ、もしくは似た世界だと思う理由は種族だけじゃない。

 俺が住んでる迷宮都市こそがゲームの舞台だったからだ。巨大な外壁に周囲を囲まれた山上の古城…その外壁を囲む様にできた街が迷宮都市だ。


 俺の父親は冒険者で、道具屋の看板娘だった母親と出会って引退したらしい。幸いな事に商人の職業適性の所持者だったから何も問題はなかったようだ。


 あぁ、職業適性について説明しないと訳が分からないよな?職業適性とはこの世界の特徴で、3つ神から与えられる。

 5歳になると神殿に行き、そこで神託を受ける事でどの適性があるか判明する。

片親から1つずつ、そしてランダムに1つ追加される。

 両親が同じ職だったりランダムで被った場合は2つや最悪1つになる場合はある(恐怖)

ゲームの時は質問に答えた内容で診断されていた。

 その適性が嫌なら別な職を選択できた。別な職を選んだ時のデメリットは初期アイテムのおまけが少ない事だけだった。


 そして5歳の時に判明した俺の適性は商人、魔道具職人、薬剤師だった。

 親父から商人、母親からは魔道具職人、ランダムが薬剤師だった。

 それはゲームで最初に提示されたのと同じだったのは性格が同じだからか、それとも神の悪戯なのか…



 つまり生産系ばかりで戦闘系は皆無だった。でも俺は焦らなかった、ゲーム同様に変更すれば良いと思っていたからな。

 でも現実は違った…適性がない者は決してつけないシステムだった…

 ではもし適性がなくても俺の様に冒険に出たい者はどうするか?一応解決策はあった。

 探索者エクスプローラーと呼ばれる戦闘系共通の基礎スキルだけを覚え、補整も最低限付くだけの職を追加として就けば良い。

 普通探索者になるのは行商人が旅を円滑に進める為で本格的な冒険には向かない。何せ、モンスターを倒す為の攻撃スキルも特定の武器に対して強化し補助するスキルもないんだから、当然だよな。

 それでも基礎スキルで生命力と魔力が強化されてるから旅で長距離移動しても疲れにくく、街道に出るような雑魚くらいから最低限逃げる事はできるしな。

 ちなみに生産系の補助職も当然ある。しかし、3つ共戦闘系になる事は何故かほとんどなく、昔話の英雄くらいなので使われる事がないらしい…生産系だけ3つは珍しくもないのに!何だ?この差は!?

 仕方ないから俺は探索者になる事を決意し、迷宮で生き残る為の修行を他の3職の修行と合わせて行う事にした。


 他の3つは前世の経験(以前ではシルバーアクセ製作販売をしていた)と適性とが相まってサクサクとその実力を伸ばしたが、戦闘訓練は難航した…武器を扱う素質が全くなかったのだ。戦闘職適性がないのがまさかここまで影響しようとは…でも、同じ道場に通う生産系ばかりの八百屋の息子は俺より数段上手いから単に俺にセンスがないだけかもしれないが…


 途方に暮れた時に偶々家の蔵から見つけたのは自動式のハンドガンだった。親父が昔迷宮で発見し持ち帰った物らしい。

 この世界で銃は主に行商人などが旅に出る時の護身用で冒険者は普通使用しない。

 何故なら銃の攻撃力は一定で、ある程度のLV以上の冒険者の攻撃力はそれを凌駕するし、迷宮の中のモンスターには銃なんかでなかなか死なないのも多い。

 戦闘系の2次職には銃士ガンナーなんてのもあるが、やはりなるような物好きは少ない。魔銃でも持ってるなら話は別だが、魔法の追加効果で銃の壁を越えれるからな。

 俺はこれに縋るしかないと思った。銃は序盤の敵や装甲の薄い敵なら効果が見込めるし、そこで必要以上にLVを上げて生き残るしかないのだ。

 その日から早速射撃の練習を始めた、銃の弾は比較的安価で、道場を辞め、その分の月謝を回した。

 最初は全く的に当たらなかったが、数ヶ月すれば流石に当てれるようになった。まぁ練習に使用していた家の裏庭は穴だらけだが…

 剣術と比べれば格段の上達に、修行を10年続けた意味は?と言いたくなったが攻撃を避けたりには少しは役に立つだろう。

 他の生産系の修行をしつつ更に数年練習を続けた結果、結構無茶な体勢でもほぼ真ん中に当たるようになった。我ながらイナバ○アーや○トリックスをしながら当てれるのにはちょっと引く…

 まぁ長年修行していたし、剣よりは才能があったのだろう。

 冒険に出る前にかなりの時間かけたものだ…こういう時に森林の民のハーフで良かったとつくづく思ってしまう。ビバ長寿!二十代なんて子供も良いトコです!いや、成人扱いはされますが…

 まぁそんな訳で漸く冒険に出る自信がついた時には三十路まで後2年位になっていて、生産系は才能の所為か店を任せられる様になっていた。

 現代人の知識による、こっちの世界では斬新なデザインや機能の道具や魔道具を販売したのが原因だな…おかげで店が繁盛し過ぎて冒険に全く出れなくなった…

 それでも何とか週1回親に店番を頼み、休みを獲得し迷宮に足を踏み入れたのは、三十路を過ぎた頃だった…売れ過ぎだよ…

 初めて迷宮に足を踏み入れた時その情景に感動した。迷宮は環境型(自然をそのまま利用している)だったので中は大森林になっていた。

 勿論事前に迷宮について情報収集は万全で、装備もしっかりと揃えてきた。何せ普通の冒険者より弱いのは間違いないのだからケチって大怪我や死んだら目も当てられない…


 俺の装備はこんな感じ

 ハンドガン

 サバイバルナイフx2

 ウッドバックラー

 甲殻獣のヘルメット

 灰狼のレザージャケット

 灰狼のレザーパンツ

 灰狼のレザーブーツ

 灰狼のレザーグローブ

 灰狼のレザーマント

 魔道具各種

 野営道具各種

 と、まぁこんな感じだ。


 ヘルメットや全身のレザー装備は初心者用ではないし、他の道具も潤沢過ぎる位だ。商売が軌道に乗ってて良かった♪さっきと言ってる事が違うって?気にするなよ(苦笑)

 

 この迷宮は全5層になっていて第1層、第2層は多くの冒険者が踏破していてマップも普通に売り出されている。

 それでも安心して進めるわけじゃない、LVを上げる為に戦闘は必要だし各層の境界線にある巨大な壁があり、一カ所だけ門には必ず門番ゲートキーパーと呼ばれるボスがいる。

 門番は何度倒されても短時間で復活するから他人が倒した後ろから素通り出来るのを期待するにはギャンブル過ぎるから自力で突破するしかないんだ。


 第1層をゆっくりと進んで、最初に遭遇した敵は平原の子鬼だった。平原の子鬼は醜い顔で子鬼というくらいなので背は低く、緑の皮膚をしている。装備は錆びたナイフなどで服は薄汚れた布製だ。まぁ所謂ゴブリンだな。

 LV1のソロで遭遇するには少し不安のある敵だ。しかし俺は慌てず銃を取り出し頭を打ち抜いた。爆ぜた頭から血が飛び散り周りに異臭が漂う中剥ぎ取りを行っても余り感慨が浮かばなかった。

 よくある小説だと命を奪う事に躊躇いや後悔があったりするはずなのに、これもシステムの恩恵だろうか?


 昼食(俺立案の最新携帯食料カ○リーメイト)を挟みつつ数匹のゴブリンや大鼠、一角兎を狩り無事に帰宅をした。幸いな事にかすり傷程度で大きな怪我は無く、LVも順調に2つ上がった。



 


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