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93章目 キーホルダー
澤留は俺の横で歩いている。
一応財布は持ってきているが、少しばかり心細くはある。
それでも二人一緒にいれば、支払えなくはないだろう金額のお土産が並んでいる店で、澤留はいろいろとみているようだ。
ウインドウショッピングなんて、いつぶりだろう。
特に、俺と澤留の2人きりでこんなおしゃれなところというものなんて、本当に数年ぶりになるかもしれない。
ただ、元のドームではこんなところはなかったけど。
ふと、澤留が店の前で立ち止まった。
「どうした」
澤留に聞くと、そこはお土産屋の一画だった。
どうやら、そこに置いてあるピンバッチが気になるらしい。
「ほしいのか?」
「可愛いし、ね。でも、どうだろ。お金あるかなぁ」
北米条約連合のドームに入った時、一応と思っていくらかお金は換金しておいた。
だから、あることはある。
幾らか値段を見ると、1.99と書かれていた。
「いけるんじゃないか」
財布を見て、札がたくさんあることを確認してから澤留に言うと、あっというまに物色をはじめていた。