8章目 夏旅行決定
エリーゼを改修してから1カ月が過ぎた。
ちょうど高校は夏休みに入ったところで、宿題の山と格闘していたところだった。
「やっほー」
澤留が、暇そうに遊びに来た。
「お前宿題は」
「普通科は、少ないんだよ。知らなかったでしょ」
にっこりしている顔から下に目を移すと、カバンがあった。
「…にしては、なんかいろいろと入ってそうなカバンだな」
「だって、全部をやったとは言ってないよ」
普通に家に上がってきていて、さらに俺が勉強している今の机の前に座る。
「数学って、ややこしいね」
にんまりと教科書やノートを出してくる。
「おいおい、そう言って教えさせようとしてるのか」
俺が言うと、驚いた顔一つ見せずにうなづいてきた。
「…じゃあ代わりに、この宿題を解いといてくれよ」
俺が見せたのは、図面製作の宿題だ。
「…ごめん、私でする」
見て2秒たたない間に、澤留が言った。
だが、そこから動こうとはせずに、そのまま宿題をし始めた。
それも1時間と続かなかった。
「あーあ、なんでこんな宿題があるのー」
「最初に少ないって言ったの、誰だっけな」
「誰だろー、私知らなーい」
天井見上げ、宿題をするのにも飽きたようだ。
「…あ、そうだ」
「なに要らんこと思いついた」
俺が、図面の5分の1ほどを仕上げるた時に、澤留がなにか思いついたようだ。
「日記っていう宿題があるんだけど、それ、旅しながら書こうか」
「はあ?」
思わず図面から顔を上げる。
「エリーゼと一緒に行くっていうのもいいわよね」
「おいおい、何を言い始めたかと思えば」
「心配なら、一緒に来る?」
「当たり前だろ」
そう言った瞬間、後悔した。
その日のうちに沢朗さんにその計画を話すと、子供二人で旅をさせるには、火星は危険すぎると言うので、なぜか一緒に来ることになってしまった。
さらに、沢朗さんが行くならと、嬉子さんまで来ると言う。
俺たちの親には、沢朗さんが伝えると言うことになり、この話から3日後には、エリーゼと一緒に、バギーに乗り込んでいた。