78/137
78章目 バーベキュー
2階にある冷蔵庫から、冷凍している牛肉の塊を取り出した。
地球ではとてもよく食べられていたらしいが、今ではぜいたく品の一つだ。
「ここのドームの地下にはね、牧場があって、バーベキューできるグループにだけ、こうやってブロック肉を売ってくれるの。それがこれよ」
アリスさんは大事そうに牛肉のブロック肉を抱えつつ、3階へと向かう。
近所の様子が見えるが、家族仲良くバーベキュー用の準備をしているところだった。
「あとは炭と、火種、水……」
「これも、だろ」
デニスさんが下からの階段から顔をのぞかせて、さらに山盛りの野菜や合成肉を持ってきてくれた。
合成肉は、見ただけで分かる。
本物の牛肉よりも、サシが一直線に入っているからだ。
ミルフィーユのような感じに見える。
「よし、じゃあ焼いていこう」
デニスさんが焼くようだ。
「これが伝統なのさ」
と言っているデニスさんは、大層嬉しそうだった。