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75章目 エルゴ
「これが一番古い都市伝説なんですね」
澤留が司書さんに話しかけている。
「はい。また、彼女が眠る所は『エルゴ』と呼ばれております。なぜかは、分かりませんが……」
「カタツムリかなぁ」
澤留がボソッとつぶやいた。
「なんでカタツムリなんだよ」
俺が思わず澤留に突っ込む。
「だってカタツムリの料理をエスカルゴっていうでしょ。カタツムリには殻があるし、そこで眠ってるってことなのかなぁって」
よく分からない理屈ではあるが、澤留らしいといえばらしい。
「今となっては全く分かりませんから、そのあたりを想像するのも面白いかもしれませんね」
司書さんがくすっと笑いながら俺らにそう言ってくれた。