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7章目 エリーゼと俺の日常

翌日、俺と澤留は相変わらず沢朗さんの家にいた。

「エリーゼ、どうですか」

俺の家においておくと、親に掃除されそうな気がしたため、電源を切り沢朗さんに預けていた。

「今は電源切っているから、動いてないよ」

沢朗さんが、コーヒーを片手に、タオルを肩に載せて出迎えてくれた。

「エリーゼの様子見に来たんですけど、電源つけてもいいですか」

「ああ、ちょっとまってね。仕事がひと段落してからにしてもらえるかな」

沢朗さんは、タオルを近くのテーブルの上において、パソコンに向かって何回かキーボードをたたいた。

「うん、これでいいかな」

沢朗さんがそう言ってから、再び俺たちのところへ来た。

「じゃあ、電源を付けてみようか」

「はいっ」

澤留が沢朗さんについて、すぐにエリーゼの元へ駆け寄る。

「そう言えば、さっきの仕事ってどんなものなんですか」

「ああ、さっきのかい。都市の再開発に関する仕事だよ。区割とかを決めるための図面を書いていたんだ」

「そうなんですか」

俺は、それを聞いてから、ふと沢朗さんに聞いた。

「そんなこと、俺に話しても大丈夫なんですか」

「アッハッハッ。君が誰かにばらすとかは思えないからね。だから、信用しているよ」

沢朗さんがそう言って、俺の頭をなでた。

「そんなことより、早く付けましょうよ」

俺と沢朗さんの会話を遮るように、澤留がエリーゼがいる部屋にもういるようだ。


俺たちが部屋に着くと、何もないガランとした部屋の真ん中に、エリーゼが座イスに座っていた。

「付けようか」

沢朗さんが、首の付け根にある電源ボタンを押して、エリーゼを起こした。

「おはようございます」

「おはよう。どうかな、今日は」

エリーゼは、こちらを見ながら、言った。

「大丈夫です。ありがとうございます」

「うん、よかった」

エリーゼは立ち上がろうとするが、どうやら体内のバランスが崩れているらしく、うまく立つことができない。

「内部バランスが崩れているようです。設定し直してください」

「それは俺の出番ですかね」

俺は沢朗さんの横に膝をついて座り、胸のパネルを開けた。

「ちょっと聞きたいんだが、君を造った3人の話、もっと聞かせてもらえないかな」

「ダメです。3人の許可がないと」

「だから、3人は死んでいるんだってば」

「そんな説は信じません」

「真実だよ」

沢朗さんとエリーゼが話している間に、銃身安定装置を見つけ、調整をし、重心位置を確認してふたをしめる。

「できましたよ」

おやっという顔をして、沢朗さんが俺を見る。

「もうできたのかい」

「ええ、これぐらいなら、1年の時にやるので」

「さすが工業科」

後ろで澤留がなにか良いっているようだったが気にしないことにした。

「まあ、無事に動いているみたいですし、今日はこれでいいかな。そうそう、何か思い出したことある?」

俺は膝をついたままで、エリーゼに聞いてみる。

だがエリーゼは何一つとして思い出すことはなかった。

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