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68章目 夜の街
「しかし、よくここまで来れたな」
俺がぼんやりと窓の外を眺めながら言う。
澤留は俺へと目も向けずに、んー?と声のような唸りのような音を出す。
「なんだか、面白くなってきたなって。まだ夏休みはあるわけだし、どこまでいけるんだろうな」
「私にもわからないなぁ。でも、面白くなったってことはいいことだと思うよ」
澤留は俺にそういった。
「どうしてさ」
「だって、最初乗り気じゃなかったでしょ。でも、一緒に来てくれたことは、ありがとうね」
「おう」
俺は澤留に答える。
窓の外では、人がまだまだ動いていて、生きている街てのを実感できた。
俺らの町でも中心部ではこうやって夜通し動いているわけだけど、住宅街区では、静かになっていたからだ。