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60章目 スーザン
「どちら様でしょうか」
怪しいとか、危険な雰囲気は一切ない。
むしろ、昔からの知り合いとか友達、もしかしたら親友かもしれない。
それほどの親しみやすさがある。
だが、それが罠なのかもしれない。
俺はそういいつつも、ドアの敷居を境にして、彼女をじっと見つめる。
「やだなぁ。私の名前が出てきたから、ちょっと見に来たんだよ。君たちでしょ、『スーザン』を調べてるのって」
「では、もしかして……」
「そうだよ、私がスーザン。風の便りで君たちがライトメイヤーと出会ったことを聞いたよ。アナムネーシスがお世話になっているようだね」
長髪で黒髪、ただ目が碧い。
俺よりも背丈が高く、まるでモデルみたいだ。
アナムネーシスという単語は、エリーゼのことだ。
今はここにはいないが、第1段階に止めているバギーカーにはあるはずだ。
「入れてあげなよ」
どうしようかと思っていると、俺の背中から声がかけられる。
「それじゃ、お邪魔するよ」
ひょいひょいっと俺をかわして、スーザンと名乗る女性が部屋へと入った。