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53章目 スーザンの都市伝説
「不幸に?」
本当なのかどうかを尋ねる口調で、沢郎さんが聞いた。
「都市伝説のひとつね。こんな内容よ。ずいぶん昔、火星で第3世代ドームが建設を始めた頃。今からだいたい120年くらい前ね。そのとき、一人の作業員が遺跡を見つけた。今は残っていない遺跡よ。その遺跡には1人の女性が眠っていた。今では普通に行われている冷凍冬眠らしいわ。その女性こそ、スーザンだった。彼女を起こすと同時に、遺跡の中にある機械が作動。始めのうちは、なかなか興味深いものだったそうね。見たことがない、地球時代の遺物だったから。でも、そのうち、一人、またひとりと倒れていった。スーザンがもっていた病原菌が原因だと気づいたときには、クルーの半数が死んだそうよ」
博士はそこで話を切り、俺たちを見つめた。