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51章目 スパック・マイコ博士
部屋の中は雑然としていながら、整理が行き届いているような印象を覚えた。
「博士、お話ししていたデニス・デリンジャーです」
デニスさんが、博士と言われた人に話しかけているが、その人はペンをひたすら走らせるばかりで、聞いている様子はない。
「……博士?」
肩を叩こうとした瞬間、博士と呼ばれた人は唐突にペンを置いた。
「ふぅ……」
細い溜息のような息を吐き出すと、ようやく俺たちに気づいたようだ。
何やら英語でデニスさんと話していた。
「紹介します。博物館古代史専門、本ドームの大学において教授として教鞭をとっておられる、スパック・マイコ博士です」
「話は聞いてるわ、よろしくね」
こちらこそ、と沢朗さんが日本語で答えたマイコ博士と握手を交わしていた。