5章目 音声チップ
次の登校日に、俺は担任にロボットのことは隠して相談をした。
高校の担任で、PC部の顧問でもある五百藏斉人先生に、放課後の職員室で会うことになった。
「新しいロボットを作りたいから、言語用のチップがほしい」
「ええ、そうなんです。これまで作ってきたのには、言葉を話すという機能を入れれなかったんで、今度作るやつは、ぜひとも話をさせてみたいと思いまして…」
俺は澤留と一緒に先生と交渉していた。
「予算はまだ使いきって無かったはずですよね」
「ああ、まだ部活の予算は残ってはいるが、かなり少ないぞ。言語チップは高いからな」
「中古でもいいと思うんですけど…」
「中古かぁ。ネットには転がっているだろうけどな、どれだけなのか、簡単に調べようか?」
「お願いします」
俺は先生にそう伝えると、すぐに調べてくれた。
「中古で3000か。部費でまかなえるギリギリのラインだな」
「それ以上で、何かいいのってありませんか」
「うーん、飯斉たちが自腹を切るっていうんだったら、そりゃいくらでも上を狙えるがね」
俺は先生の言葉を聞いて、後ろにいる澤留を振り返った。
「どうする」
「部費で行こう!」
「では、それでお願いしていいですか」
「ああ分かった。注文しておこう。名義は学校にしておくから、届いたら教えるよ」
先生はそう言ってくれた。
俺たちは、それを聞いてから家に戻った。
届くのには1週間ほどかかるそうだから、それまでエリーゼのスイッチは切っておいた。