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41章目 通訳
そんな話をしていると、アルギニンへとたどり着いた。
アルギニンでは、火星英語と呼ばれる言葉が話されているらしい。
ただ、火星英語と言っても、この世界では単に英語としか言わない。
外国語と言っても、英語とロシア語しかないわけだ。
そして、俺はそのどちらも好きではない。
アルギニンの第1段階へとたどり着くと、女性が出迎えてくれた。
「お待ちしていました」
流暢な日本語を話す。
「お久しぶりです、デニスさん」
「ええ、こちらこそ」
沢朗さんが手を差し出し、デニスさんと握手する。
どうやら二人は知り合いのようだ。
「紹介しておくよ」
挨拶を交わしてから、沢朗さんが俺らをデニスさんに引き合わせる。
「彼はデニス・デリンジャー。日本語学者であり、このアルギニンドームの通訳の一人。各ドームにはこうした通訳がいるから、言葉が分からなくても大丈夫」
俺はそれを聞いてほっとした。
すぐ横に居た澤留も安心したようだった。