4章目 ロボットの復元
俺が家に持って帰ると、早速修理に取り掛かる。
「しかし古いロボットだな。いつに造られたものなんだ」
俺が傍らでじっと俺の作業を見ている澤留にぼやいた。
「私が見ても分かんないよ。私、PC部にいても、ロボットとか分からないもん」
「学校の授業にあるだろ。工学実習って」
「私普通科だから、工学実習って言っても中学校の家庭科の工作の延長みたいなものだよ。工業科の人とはカリキュラムも全然違うからね」
「こういう時には不便だな」
俺はそう澤留に言いながら、ドライバーでねじを締め続けた。
あらかたの修理が終わったころ、不意に近所からピアノの音が聞こえてきた。
「エリーゼの為に…か」
「いつからいたんですか」
俺は立ち上がり、コーヒーを入れたコップを持ちながら俺の修理を見ている沢朗さんに向き直った。
「sだ水hsjgrじゃ絵場;h:オア絵」
「え、何か言いました」
「自分じゃなく、そのロボットがな」
「那fskj場ウェjk映え;kjhvdz」
エリーゼの為にを聞いた途端、どうやらこのロボットは息を吹き返したようだ。
だが、俺には何を言っているのかさっぱり分からない。
「言語回路が故障しているのかもな。それで、はっきりものをいうことができないんだろう」
沢朗さんが、あっさりと言った。
「どうすればいいでしょう」
「パーツさえあれば、どうにかなるかもな。高校の先生にでも聞いてみたらどうだ」
「そうさせてもらいます」
俺が沢朗さんと話している横では、澤留がロボットに近寄っていた。
「ねえ、名前どうしようか」
「名前?そうだな…」
俺が悩むよりも先に、澤留が付けていた。
「じゃあ、エリーゼってどう?エリーゼの為にを聞いて起きたわけだから」
「エリーゼか…まあ、いいんじゃないか」
俺はそう言って、ロボットを撫でた。