36章目 本
ただ、別の本に、詳しく書かれていた。
ここに越さされた理由だ。
大統領暗殺未遂事件とは、本の中ほどに書かれていた。
それによれば、人口抑制へと舵を緩やかに切り始めた地球は、統一した政府を作ることになり、それが地球政府と言う名称になった。
その元首と代表者として、地球大統領というのが作られたらしい。
だが、2代目の大統領がきわめて悪かった。
その大統領を暗殺することを目的として、3人は集まったらしい。
毒殺未遂、銃撃未遂、爆殺未遂、その他、いろいろとしたらしいが、どれも失敗したらしい。
そして、そのうちの一つから足がついた。
で、逮捕されたということだそうだ。
だが、これも未確定であって、実際に行われたのかどうかはまったく不明だという。
彼らが火星へと連れて来られた理由も書かれていた。
地球は、当時人口飽和寸前であった。
コップに水を溢れんばかりに入れていて、あと1滴で溢れるという感じだ。
その時、月はすでに開発し尽くされていて、もう人が住む場所はなかった。
そのため当時の地球にある政府たちが目を付けたのが、火星だ。
火星はまだ人類が到達した場所ではなく、そこに移住をさせるということになっていたらしい。
だが、先遣隊を誰にするかで紛糾した。
そこで選ばれたのが、アウトローたちであった。
それが、伝説の3人と言われている人たちである。
彼らによって火星が一部であっても住めるようになった時点で、彼らの役目は終わった。
地球の政府たちは、その時点で彼らを全員殺すことにしていたらしい。
その中で、伝説の3人は逃げ出した。
火星の大気がごく希薄と言っても、ボンベを背負い、建物から建物へと車を飛ばし、その途中途中で食料やいろいろを強盗しつつ入手したそうだ。
それ以後、彼らの行方は誰も知らない。
ゆえに、当時あった火星統一政府は彼らを神格化するために伝説の3人と命名して、教科書に載せた。
彼らが地球で何があったかは知らないが、彼らの顔は教科書に載り、一目見た瞬間で誰もが分かるという仕組みを作りだした。
そして、誰かが見つけたら、火星政府、すでにドームごとの政府になっていたのだが、彼らを殺すということになっているらしい。
このことは、火星行政長官のみが知ることであり、ここに記すことは単なる陰謀論としてのみだという。
伝説の3人が行方不明になってからは、教科書に載っている通りである。
つまり、第1段階から第2段階、そして発展的永住を目的とした第3段階へと進んだ。
だが、地球はすでに人口飽和を起こしている。
その時は、火星へどっと移民が押し寄せるだろう。
はたして、火星の住民たちはどうするのであろうか。
そして、伝説の3人は、何をするのだろうか。
そう、本は結ばれていた。