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35章目 罪
「これだ」
沢朗さんがつぶやいた。
どうやら、無事に見つかったようだ。
「今から百年前に書かれた本の復刻版らしい。それに、伝説の三人が詳しく載っていたよ」
それによれば、伝説の三人と今では呼ばれている、公楽、ライトメイヤー、スーザンは、もともと、地球で追われる身だったらしい。
理由は、大統領暗殺未遂。
当時は無人飛行機が盛んに飛ばされていたが、それをハッキングして、大統領の住まいに落とすという計画をしていたという。
「ロボット工学に詳しかったのは、特に公楽さんらしいな」
沢朗さんが本を見せながら、俺たちに教える。
「これによれば、日本皇国の国立大学工学部出身とある。博士号もとったようだな。その時の論文が、人工知能を搭載したロボットと人間の共存。ただ、大統領暗殺未遂事件によって、その計画は頓挫。そのため、ここでそれを実行に移したということらしい」
ただ、わからないこともある。
「これだけだと、どうしてここに派遣されたかがわからないね……」
それは、この本には書かれていなかった。
ただ、どうやら罪というのは、この大統領暗殺未遂のことらしい。