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32章目 ピロリン
そして、俺たちはピロリンの第1段階へと、一気に駆け抜けた。
「向こうから逃げだせたのは、俺たちだけだったんだ」
口裏合わせしておいた言葉を、ピロリンの人たちに言う。
「しかし、第1段階があらかた吹き飛んでしまうような大爆発だったのにもかかわらず、第3段階まで影響がなかったというのは、奇跡としか言いようがないな」
ピロリンの行政委員が、俺たちに教えてくれる。
行政委員と言うのは、それぞれのドームに10人ぐらいいる行政機関の監視役だ。
だいたいは25歳以上で公務員でない人が選ばれる。
ちなみにボランティアだ。
「何があったのかを詳しく行政院長が知りたがっておりますので、係の者がご案内します」
行政委員に呼ばれて、蛍光黄緑をしたビブスをつけている人が、俺たちに向かって敬礼をしてきた。
俺たちは、ただ、彼についていくしかなかった。