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29章目 脱出
電気が切れるのとほぼ同時に、非常警報が鳴り響いた。
その救急車のようなサイレンは、何か嫌な予感をさせる。
テレビが急について、地下へ逃げるようにという指示が出ている。
だが、それと同時に、沢朗さんたちがやってきた。
「脱出するぞ。荷物は」
「まとまってます」
というよりかは、あまり荷解きをする暇がなかったと言うべきだろう。
リュックを背負った俺たちは、慌ててドームから脱出を試みる。
「玄関に神居がいるから、そこまで走るぞ」
「ちょっと待ってください、ライトメイヤーさんは?」
「分からん。もうこうなっては探す暇もない」
沢朗さんが俺たちに話す。
「何が起こったんです」
走りながら、澤留が沢朗さんに話しかける。
「分からん。とにかく、今は逃げるしかない」
沢朗さんにせかされて、俺たちは、それからは黙って第1段階へ駆けって行った。