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26章目 非常招集
家へと戻り、今度はどこに行こうかと考えていると、神居さんの携帯が鳴った。
「はい、神居です」
電話の向こうが誰か、俺は分からない。
だが、声のトーンで重要な人物だということは分かった。
「……分かりました。では、向かいます」
神居さんが、明らかに暗くなっている。
携帯を切ると、俺たちへ向き直って言った。
「何者かによって、送電施設の一部が破壊されたらしい。それで、こっちも動員されることになった。すまないが、このまま家に居ていてくれないか」
「神居さんがいうのであれば……」
俺はそう言うと、澤留をチラッと見た。
頷くのが見えたので、再び神居さんへと頷く。
「なら、大丈夫だな。すでに、沢郎は向かっているそうだし」
そう言うと、神居さんは、スーツ姿に着替え、すぐに現場へと向かってしまった。
家の中には、俺と澤留の二人だけが残された。