24章目 家
神居さんの家は、俺の家よりも広かった。
「ひろーい」
澤留がすぐに家の隅々まで見ていた。
「ここでは、1世帯ごとにこの大きさの家が支給されるんだ。戸籍によってグルコン政府に世帯登録を行うと、自動的に空いている家に割り振られることになる。だから、そろそろ新しいドームを作ろうかという話も出てきているぐらい、このグルコンドームが手狭になってね」
神居さんが俺たちに教えてくれた。
「一応2階建で、部屋は2階にフローリングの8畳間が3つで、1階にダイニングキッチンとトイレとお風呂、あとはクローゼットが4畳分、6畳の和室が2部屋、2階の上には屋根の高さの分の屋根裏部屋もあるね。車はドーム内走行禁止だから作る必要はないし、その分、物置としてガレージを地下部分に作ったけどね」
確かに、道路はあっても、車はなかった。
全てバスや路面電車に使われているらしい。
推奨されているのは歩きではあるが、バスを使う人の方が多いだろうと、神居さんは教えてくれた。
「ここだけの話、グルコンはこの星で唯一、全自動システムで公共交通機関を動かしているんだ。だから、乗務員はバスも電車も誰一人として乗っていないんだ。おかげさまで、発電所はフル稼働だけどね」
「その発電所を見に行きたいですね」
きっと仕組みは、ASと同じだろうが、それでも俺は見に行ってみたかった。
「じゃあ、明日に見に行こうか。案内するよ。と言っても、発電自体はソーラーだから、すぐに見れるけどね」
「それでも、見に行ってみたいです」
「じゃあ、明日。今日は遅いから寝た方がいいよ」
そう言われると、急に睡魔が襲ってきた。
元気な澤留は今度はガレージを見に行っているようだが、俺はさきに自動で湯を張っていたお風呂につかり、先に眠らせてもらった。