23章目 警察署
「ここが警察署だよ」
神居さんが案内してくれている間に、ライトメイヤーさんはどこかへ消えていた。
なにか後ろめたいことがあるのだろう。
とにかく、滞在許可が必要になるらしい。
全員分の身元引受人は神居さんがしてくれることになったようで、俺たちは任していれば大丈夫と言ってくれた。
警察署の中は、ベージュを基本として、荘厳な形に創られていた。
授業で見た写真のギリシャ彫刻のような感じだ。
そのうちの一つの柱のたもとに、警察署全体の受付があって、そこで神居さんが何かを受付に言うと、すぐに書類が出てきた。
「ここに、サインをお願いします」
警官に言われて、俺たちは書類に一人一人が直筆で名前を書く。
「ありがとうございました。このドーム内にいる限り、この身分証を、常に携帯してください。また、身分証を提示するように命じられた場合、それが国家機関の者である限りは、見せなければなりません。分かりましたか」
全員の目を見て、最後に確認をする。
「はい、大丈夫です」
「では、ようこそいらっしゃいました。グルコンを代表して、あなた方を歓迎します」
そいわれて、全員分のICカードを、沢朗さんが受け取った。
「グルコンを出る際に、身分証を返却していただけませんでしょうか。身元引受人による返却でも構いませんので」
「分かりました、返却します」
ニコッと受付の人が言ったので、沢朗さんが返事をしていた。
ともかく、これで無事にグルコンで生活することができるようになったわけだ。
ここでの生活拠点は、神居さんの家になっていたから、これから向かうことになった。