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21章目 幼馴染の二人
どんどんと建物の中を歩いていく。
沢朗さんと神居さんは、仲良さそうに先頭を二人話しながら歩いている。
「神居さんと仲いいんですね」
嬉子さんに俺は小声で聞いてみる。
「彼らは幼馴染だから。元々は二人ともこのグルコン出身なのよ」
「そうだったんですか」
「昔々の話よ。その頃の話は、私もよく知らないんだけどね」
嬉子さんがそう俺たちに話してくれた。
「今でもメールのやり取りはしてるそうだから、仲はいまでもいいわよ」
「へえー、そうだったんですかぁ」
澤留がぼんやりと前を歩く二人を見つめていた。
「おう、着いたぞ。第3段階のグルコンドームだ」
急に止まった神居さんに、ぶつかりそうになった澤留の服を引っ張ってその場に止めた。