15章目 ライトメイヤー
今の状況を一通り説明を終えると、ライトメイヤーは一言聞いた。
「地球は」
「今は、地球とは接続を絶っていますので、わかりませんね」
澤朗さんが答える。
「そうだろうな」
それだけを言うと、ライトメイヤーは別の装置を触りだした。
「何してるんですか」
澤留がライトメイヤーの脇に立って、聞いてみる。
「これから、我々は気をつけなければならない時代が来るだろう。地球から見放されたことで、数多くの秘密を明らかにしなければな…」
「どういうことですか?」
「エリーゼに封印しておいた、全てのデータが必要となるだろう。他の者たちを探さなければ…」
「他の者ということは、公楽さんとスーザンさんですか」
俺がライトメイヤーに聞いた。
「そうだ。彼らがいなければ、エリーゼの記憶は復活しないだろう。なにせ、その封印したパスワードを知っているのは、設定した当人だけだ」
「じゃあ、探しにいきましょうよ。ライトメイヤーさんも一緒に」
「え?」
澤留の提案に、ライトメイヤーが驚いていた。
「エリーゼの記憶を取り戻すのが必要なら、取り戻せばいいんですよ。だったら、すぐに行かないと」
「だが、彼らが今、どこにいるのかは分からない…」
「探せばいいんですよ。きっと、ライトメイヤーさんと同じように、どこかの郊外施設にいるはずです」
「…だが」
「でももだがもなし。さあ、行きましょう」
無理やりに装置から引きはがした澤留は、そのままどんどんと階段を上がっていった。
「この装置…」
澤留たちが部屋から出てから、沢朗さんが装置を見ていた。
「どうしたんですか」
「これ、電力供給のものだね」
「これをどうしたかったのですかね」
「さあ」
俺たちも、その装置をそのままにして、澤留の後を追いかけて、地上へ戻った。