137章目 結局
結局この世界に、転生というのはおかしいが現れた俺ら二人を、KLSの人らが中心になって迎えてくれた。
彼らは俺らがこの世界になじみやすいように、研究所の人らにもいろいろと手をまわしてくれていたらしい。
特に、この火星生活研究所と呼ばれている施設では、彼らは中心的な存在だったらしく、主任や上席研究員のような役職についていた。
俺らがここにスムーズに入れたのも、彼らのおかげだということも大きい。
それから数年。
研究を手伝う傍らで、俺らも研究員として正式に雇用されることになった。
本当ならば大学院にでも通っているであろう年齢設定であるが、アンドロイドの俺らにそのあたりのことは関係がない。
「……火星、本当に行けるんだね」
「驚きだよな」
火勢移住計画第一陣に俺らが選ばれたのも、KLSの人らが推薦してくれたのが大きい。
あのままの状況に暮らせるかどうかはわからない。
「でも、きっと一緒なら大丈夫」
「かもな」
あのエリーゼの発見から、俺らの人生は大きく変わった。
本当に、これでよかったのかということもある。
あの箱庭空間は、俺らの代わりの人格が注入されて、今もシミュレーションとして継続されている。
だが、そこに俺らはいない。
代わりにこの世界で、新しい身体、新しい関係、新しい生活を過ごしていく。
火星に行っても、きっと澤留と一緒なら、俺だって幸せだ。