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133章目 データ収集
「君らは実験のデータ対象としては極めて良い評価を得た」
もはや町は町としての体裁を成していない。
すべてが消え去り、今ここにいるのは、澤留と俺と、あとは素性がすっかりわからないKLSの3人だ。
何が本当なのかを知ることは、俺にはどうにもできないらしい。
だが、AI説やこの世界が偽物説だということは、これではっきりした。
「俺らはどうなるんだ」
「消し去る、ということになるだろうが、その前に一つだけ上に掛け合ってみたいことがある。それ次第だ」
「どうするつもりだ」
「表の世界を見て見たくはないか。ここまで高等に進化したAIプログラムは存在しない。もし君らがいいといってくれれば、吉良見をどうにかして表の世界へと連れていきたいと考えている」
誰かが伝える。
俺らが生き延びれる道はどうやらこの道しかないようだ。